日本のトップメーカーであるトヨタ自動車とその高級車ブランドであるレクサスはどうだったか。ベンツが今と未来のクルマの在り方に対して鼻息が荒い感じなのに比べると、様相が異なる。「クルマの本質的な魅力である、走る歓び、使う楽しさの新たな可能性を提案。未来のモビリティライフ創生に挑戦するTOYOTAの姿勢を提示する。」を掲げるトヨタブースでは、一見バラバラなものがちりばめられたかの様な印象も受ける。しかしこれらによって、クルマに興味を持ってもらえる要素は何なのかをリサーチする場としてブースを構成しているように感じた。
メインステージに並ぶ、小型スポーツコンセプト「S-FR」、新型「プリウス」、小型クロスオーバーコンセプト「C-HRコンセプト」の3台も統一感が無いように感じるが、「TNGA(Toyota New Global Architecture)」で走りの性能を訴求項目に挙げて以降のプレゼンテーションと考えれば、第1弾モデルである新型プリウスをセンターに置き、クロスオーバーやスポーツカーといった走りを重視するユーザーに訴求しやすいモデルを左右に配しているのも納得できる。トヨタが新しいクルマづくりの思想として掲げたTNGAによって、これからトヨタ車がどう変わっていくのか興味深い。
デザイン面では、コンセプトカーであるS-FRがシンプルな造形なのが目をひく。新型プリウスをはじめとした最近のトヨタやレクサスの車両でみられる、どちらかというと要素を多く詰め込む造形と対照的だ。モデル数の多いトヨタだけに、1つの方向性だけでトヨタらしさを表現しようとしていないという意志にも見える。
レクサスでは、次世代フラッグシップのコンセプトカー「LF-FC」がワールドプレミアとして公開された。今のレクサスは、2012年に始まった「New Chapter」から、新たな章へ進む準備期間であり、LF-FCは次の章の方向性を示唆する一例であると位置付けられている。
四輪にインホイールモーターを備える燃料電池車で、自動運転機能も備えるとしながらも、メルセデス・ベンツのF 015とは異なり、自動運転中は席を回転してリアシートの人と対面するといった仕掛けなどはない。あくまでもドライバーズカーとして位置付けている。
目をひく形のスピンドルグリルと共に複雑な面で構成される造形は、レクサスに共通のデザイン要素ともなったが、ロングノーズを持つ全長の長いサルーンであるこのLF-FCでも同様である。デザインの好みは別れるが、同じ特徴を持つデザインをレクサスの各モデルで採用することで、「レクサス=大きくて価格も高い高級車だけどエコカーである」というアイコンとして認識させることには役立っているのではないだろうか。
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