3Dデータの活用シーンとしては、以下のように考えています。
詳細設計時に干渉チェックは行っているが、レビューで再現、また動きのあるものについては、動かした位置での干渉確認を行うことが可能だと良いです。容量が大きな3D CADデータの場合は、干渉チェックに多くの時間を要したり、全データを表示できずに精度低下を招く場合もあります。組み立て工具を用いた干渉確認や作業性確認も必要です。
ソフトウェアデバッグが実機レスで可能であれば、ソフトウェア担当と機械調整担当の装置の取り合いもなくなり、かつ実機レスデバッグではバグにより衝突が発生しても、装置は壊れません。また全体的な装置製造期間の短縮が可能です。
詳細設計完了直後より、3Dモデルをベースに作業開始が可能です。絵で見せることにより、実機の製作と同時進行ではなくともその作業手順を示すことが可能です手順を示すことが可能です。
装置完成を待たずに作成可能です。また文字ではなく絵で見せる取り扱い説明書が作成できます。
効果的な資料作成が可能です。装置が完成していないうちから、まるで実機のような3Dモデルが作成できます。
3Dビュワーとしては、最近バーチャルリアリティー(VR)技術も導入されてきています。昔映画で見た世界がー現実のものとなってきました。
これまでは、モニターやプロジェクタで3Dモデルを見てきていますが、手の平に乗るような製品と異なって、産業機械はとても大きなものになるため、これらで表示する際は、縮小したものとなります。
私はずっと1分の1スケールで3Dモデルを見たいと思っていましたが、近年の技術の進歩により現実的なものとなりました。3DデータのVRシステムには、観察者の位置情報を得ることにより3Dモデルとの位置関係を求め、また優れた光学系を用いて外部環境(例えば部屋や、観察者の手など)を取り込みながら可視化を行う数千万円のシステムから、ソフトウェアにより3D画像のゆがみを解消し、シンプルなシステムで可視化を行う数百万円のものなどがあります。
先進的な企業を中心にこれらの導入が進んでいると聞いていますが、更に精度の高いデザインレビューができることになることでしょう。私としては、これらが独立したシステムではなく、「記録としてのレビュー情報」がうまく後工程にも伝わっていくことで、3Dデータのチェーンがつながるのではと考えています。
今回、大きなテーマのお話になりましたが、以降の回でもっと詳しく掘り下げて考えていきたいと思っています。
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