SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)の1つである「革新的燃焼技術」は、単気筒ガソリンエンジンの実験システムで最大熱効率43%を達成したという。これまで市販ガソリンエンジンの最大熱効率は39%が最高だった。
内閣府は2015年10月15日、東京都内で、SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)の成果などを発表する「SIPシンポジウム2015」を開催した。同シンポジウムでは、SIPのプログラムの1つである「革新的燃焼技術」が、単気筒ガソリンエンジンの実験システムで最大熱効率43%を達成したという成果を披露した。
SIPの革新的燃焼技術のプログラムディレクター(PD)を務めるトヨタ自動車 エンジン技術領域 領域長の杉山雅則氏は、「次世代パワーエレクトロニクス」「革新的構造材料」「革新的設計生産技術」のPDとのクロストークセッションにおいて、「革新的燃焼技術では『ガソリン燃焼』『ディーゼル燃焼』『制御』『損失低減』という4つのチームに分かれて研究を進めている。このうち、横浜に拠点を置くガソリン燃焼のチームが、超希薄燃焼(スーパーリーンバーン)コンセプトの単気筒エンジンを使った実証実験で、これまでの市販ガソリンエンジンの最大熱効率で最高だった39%を4ポイント上回る43%という成果を得た。2020年度の目標である50%の達成に向けて、幸先のよいスタートを切れた」と語った。
SIPの革新的燃焼技術は、産業界からのニーズに対応する形で、大学の研究者から成る研究チームが4つの分野について研究開発を進める体制になっている。杉山氏のPDとしての役割は、国内自動車メーカー9社が参加する「自動車用内燃機関技術研究組合(AICE)」などからのニーズを正確に出しつつ、そのニーズを実現する研究を実際に研究者にやってもらうための環境整備が主になる。「1年前はどうなるかと思っていたが、現在では産は学の気持ちを、学は産の気持ちを理解できるようになっており、互いの信頼関係が築けていると思う」(杉山氏)という。
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