ルノーグループと日産自動車は新たなアライアンス契約を結んだ。
ルノーグループと日産自動車は2025年3月31日、新たなアライアンス契約を結んだと発表した。ルノーグループのインド事業強化を反映して体制を変更する他、ルノーグループから日産への小型EV(電気自動車)のOEM(相手先ブランドによる生産)供給を決定した。また、新たなアライアンス契約では、相互株式保有のロックアップ義務を現在の15%から10%に改定する。
日産はアンペアに投資しないことも決めた。2023年7月26日にルノーグループと日産、アンペアの間で締結した投資契約は解約される。手続きは2025年5月末までに完了する見込みだ。当初、日産は最大で6億ユーロ、三菱自動車は最大2億ユーロを出資する計画だった。
ルノーグループは、インドの生産拠点であるルノー日産オートモーティブインディアを完全子会社化する。日産が保有していた株式51%を取得する。ルノーグループと日産は現在のプロジェクトの継続など両社の関係を定めた業務契約を締結した。ルノー日産オートモーティブインディアでは「マグナイト」の新型車など日産向けモデルの生産を継続する他、日産は今後数年間にわたってインド向けモデルとインドから輸出するモデルを調達する。
チェンナイにあるルノー日産オートモーティブインディアは40万台以上の生産能力とサプライヤーのエコシステムを擁する。現在のCMFAプラットフォームとCMFA+プラットフォームに加えて、2026年にはCMF-Bプラットフォームを導入し、合計4車種の新型車を投入する予定だ。ルノーグループは2027年までの事業計画でインドでの新車開発に力を入れている。
なお、日産が49%、ルノーグループが51%の株式を保有するルノー日産テクノロジー&ビジネスセンターインディアは引き続き共同運営する。
ルノーグループはアンペアを通じて小型車「トゥインゴ」をベースにしたEVを開発中だ。日産は、その新型車の日産向けモデルの開発と生産をルノーグループに委託する。日産向けモデルのデザインは日産が担当する。
アンペアの技術は、ルノーブランドの他、アルピーヌや日産、三菱自動車でも採用する予定になっていた。日産はアンペアへの出資を中止するが、合意済みの新車プロジェクトは継続するとしている。
アンペアは2026年にトゥインゴをベースにしたEVを2万ユーロ以下で発売する他、最初のSDV(ソフトウェアデファインドビークル)となる小型の電動商用車も投入予定だ。2028年にはCセグメントのEVを発売する。
アンペアはEVのコスト削減に取り組んでおり、2028年までにEVのコストを40%削減する目標だ。これに向けて2026年からリン酸鉄リチウムイオン電池を導入する他、セルtoパックやセルtoシャシーなど新技術を組み合わせてコストを削減していく。2026年の時点でもバッテリーのコストを20%削減できる見通しだとしている。また、早ければ2028年にはコバルトフリー化を達成する。リチウム金属電極による三元系のエネルギー密度向上などにも取り組み、コストや安全性、急速充電の性能向上などを目指す。
SDVに関しては、コアとなるIP(知的財産)を維持しながらコストを削減する水平アプローチを採用する。Googleやクアルコムと開発するソフトウェアだけでなく、バッテリーやパワーエレクトロニクスでも水平アプローチを取り入れるとしている。開発プロセスの最適化のため、中国にある開発拠点Advanced China Development Center(ACDC)も活用し、中国の現地パートナーと連携している。
アンペアは2024年前半にも上場を目指していたが、2024年1月の時点で上場を中止した。これにより、アンペアが損益分岐点に到達するまでルノーグループが開発費用を提供することとなった。2024年1月の時点では、損益分岐点に達するのは2025年と計画している。
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