これはきっと喜んでくれるはずだ!
……えーと……。むっとしていますね……。
数分経過しても全然見向きもしてくれません……。折りたたんだままの左前足は「触るもんか」という抵抗の現れなのでしょうか……。
その後あらゆる手を尽くしましたが、ガン無視。どうやら最後の最後で“とてつもないエラー”が出てしまったようです。「飼い主の心、ペット知らず」。いや、「ペットの心、飼い主知らず」なのか……。おまけに、そっぽ向かれたのはこれで3回目(そのうち1回は自ら狙いにいったんだけど……)。でもめげないで、今度こそちゃんと喜んでもらえるモノを作りたいです。
つくづく思いますが、やはりモノづくりの最大の喜びは、「自分が考案したものを自分の手で作り、それが思った通りに完成した時」ですね。そして、その喜びのお手伝いのためのお道具が、CNCフライスなのです。どうか存分に使って、モノづくりを楽しみましょう。
さて全6回でお届けしてきた「CNCフライス超入門」、いかがでしたでしょうか。「これなら自分でも使えそう」「想像していたほど難しくなさそう」と思っていただければうれしいですし、「よし! 早速CNCフライスを使ってモノづくりをしてみよう」と行動される方には、「一緒に頑張ろうね」と、心からエールを贈りたいと思います。
ありがたいことに、家庭用3Dプリンタのブームがやや落ち着いたのと合わせて、家庭で使えるCNCフライスを使ったモノづくりが徐々に注目されています。
3DプリンタとCNCフライス。どちらの機械も一長一短あることは連載第1回でお話した通りです。複雑な形状の外装品は3Dプリンタで作り、精度が必要なメカニカルパーツはCNCフライスで作るといった「お道具の使い分け」によって、いわゆる「動くモノ」を自作出来る時代が、一般的に認知されだしたということですね。特にCNCフライスには「精度の高い加工が可能」という利点があるため、用途が幅広いのです。
そして、「使ってみたいけど自宅に機械を設置できない」といった方には、便利な工作室(DMM.make AKIBAや、MONOなど)や、ファブラボなどのシェアスペースがおすすめです。このような施設は全国各地に少しずつ増えてきています。定期あるいは不定期に、モノづくりの講習会も各地で開催されているようです。未経験の方はこういった機会を利用すると生の学習ができてよいかなと思います。ぜひどうぞ!
最後になりますが、半年間にわたる拙い連載にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
藤崎 淳子(ふじさき じゅんこ)
長野県上伊那郡在住の設計者。工作機械販売商社、樹脂材料・加工品商社、プレス金型メーカー、基板実装メーカーなどの勤務経験を経てモノづくりの知識を深める。紆余曲折の末、2006年にMaterial工房テクノフレキスを開業。従業員は自分だけの“ひとりファブレス”を看板に、打ち合せ、設計、加工手配、組立、納品を1人でこなす。数ある加工手段の中で、特にフライス盤とマシニングセンタ加工の世界にドラマを感じており、もっと多くの人へ切削加工の魅力を伝えたいと考えている。
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