生産高が成長を続けているとはいえ、台湾の医療器材市場は日本と同様に輸入超過が続いている。2007年は輸入が419億台湾ドルに対して輸出が290億台湾ドルで、5年後の2012年は輸入が568億台湾ドルに対して輸出が425億台湾ドル。生産高の成長に合わせて輸出が伸びているものの、医療器材需要の高さから輸入も伸びているため、差はなかなか縮まっていない。
台湾の医療器材メーカーは、血糖測定器や血圧計、コンタクトレンズ、そして海外医療機器メーカーへのOEM供給などで優位なポジションを築いている。しかし、超音波診断やX線診断、MRI、内視鏡といった高度な医療器材ではまだ有力な企業が育っていないのが現状であり、輸入超過の要因にもなっている。
陳氏は、「海外医療機器メーカーへのOEM供給をてこに自社ブランド開拓を積極的に進める企業が出てきており、今後輸出額は大幅に成長する見通しだ。政府もその動きを後押ししている」と語る。
まずは2009年には、「台湾バイオテクノロジーテイクオフダイヤモンドアクションプラン」により、医療器材や医薬品を含めたバイオテクノロジー産業の研究開発や製品の市場投入を支援する政策が発表された。この政策のもと、バイオテクノロジー統合育成センター(SIC)や、バイオテクノロジーベンチャーキャピタルファンド(BVC)などが活動を始めている。そして、エレクトロニクス産業の集積地でもある台湾西沿岸にある三大サイエンスパーク(新竹、台中、南部)で、医療器材メーカーも育ちつつあるという。
これらの施策によって高度な医療器材の開発を進め、2018年には台湾の医療器材生産高を2013年比46%増の1700億台湾ドルに成長させたい考え。そして、各種産業で導入し製造業のサービス化のための政策「三業四化」によって医療器材サービスの付加価値化を進めて2020年に2300億円台湾ドルを目指す。そして2027年には3000億台湾ドル以上になることを見込んでいる。3000億台湾ドルは日本円で1兆2000億円
陳氏は「台湾独自の先進的な医療器材の開発事例が最近幾つも出てきており、将来は明るい」と述べている。
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