横浜市立大学と横浜国立大学は、男性不妊治療の選択に有用な新規バイオマーカー候補となるタンパク質を発見した。男性不妊患者の精子では、ミトコンドリアタンパク質COXFA4L3の発現、局在が異なる。
横浜市立大学は2025年1月14日、男性不妊治療の選択に有用な新規バイオマーカー候補となるタンパク質を発見したと発表した。
男性不妊患者の精子では、ミトコンドリアタンパク質「COXFA4L3」の発現、局在が異なることが明らかとなり、COXFA4L3の局在を確認することで、患者により適した不妊治療法が提案できる可能性がある。横浜国立大学との共同研究による成果だ。
COXFA4L3は、精子形成中に生殖細胞で特異的に発現するシトクロム酸化酵素の新興サブユニットタンパク質だ。男性不妊患者27人の精液サンプルを使用して、精子濃度、運動パラメーター、妊娠経過などとCOXFA4L3の発現および局在を分析した。その結果、患者の精子内でCOXFA4L3は発現しており、通常は精子中片に発現するCOXFA4L3が精子の先体に集まって発現していることが認められた。
異所性発現の比率は、自然妊娠や人工授精で妊娠した患者の精子では低く、体外受精や顕微授精、妊娠しなかった患者では高かった。そのため、COXFA4L3の異所的局在の程度が、男性不妊症の治療選択に有用である可能性が示唆された。
精子形成に必要なエネルギーは精子内のミトコンドリアで生成されるため、ミトコンドリアが機能不全になると男性不妊症を呈する可能性がある。エネルギー産生関連タンパク質であるCOXFA4L3が異所的に発現していると精子のエネルギー産生に問題を生じる可能性があり、前もってCOXFA4L3の局在を評価することでより適した不妊治療方法を選択できる可能性がある。
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