第36回 コンピュータの並列処理とバス幅の増大前田真一の最新実装技術あれこれ塾(1/3 ページ)

実装分野の最新技術を分かりやすく紹介する前田真一氏の連載「最新実装技術あれこれ塾」。第36回はコンピュータの並列処理とバス幅の増大について解説する。

» 2015年06月03日 10時00分 公開
[前田真一MONOist]
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本連載は「エレクトロニクス実装技術」2014年2月号の記事を転載しています。



1.ゲーム機のメモリバス

 2013年はSonyの「PlayStation(PS)」とマイクロソフトの「Xbox」の新製品、「PlayStation 4(PS4)」と「Xbox One」が発売されました。この2つの最新ゲーム機は、中を見ると非常に似通った設計になっています。特にプロセッサとメモリの接続は、全く同じといってよいほど共通しています。

 PS4は「GDDR5」、Xbox Oneは「DDR3」とメモリは違いますが、両方とも16ビット(8ビット×2)のDDRメモリを8個並列に接続して256ビット(8ビット×16)の並列データバスとなっています。

 256ビットの並列バスとなると、基板の配線も非常に困難です(図1)。

図1:Xbox One(from ChipWorks)

 なぜ、このような幅の広いメモリバスが必要になるのでしょうか? これは、ゲーム機ではグラフィックの機能が非常に重要だからです。

 ゲーム機については、美しくリアリティのあるグラフィックが高速にスムーズに動くことがその差別化につながります。このグラフィック機能の向上のためにはこれまでのCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)と呼ばれる演算処理機能とは別に、GPU(Graphics Processing Unit)と呼ばれるグラフィック専用のプロセッサが開発されています。

 このGPUが大量の並列メモリバスを要求します。

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