今回の契約で興味深いのは、新設された分野が「自動車」ではなくモビリティであることだ。対象製品にも、自動車をはじめとする移動体としてのモビリティだけでなく、ITSやテレマティクスサービスも含まれている。つまりトヨタ自動車は、自動車単体だけでなく、そのインフラであるITSやテレマティクスサービスをも視野に入れて、今回のTOPパートナー契約を締結しているのだ。
発表会にはトヨタ自動車の豊田氏とIOCのバッハ氏の他、国際オリンピック員会委員/マーケティング委員長兼日本オリンピック委員会会長の竹田恆和氏(右端)と、東京オリンピック・パラリンピック競技大会 組織委員会 会長の森喜朗氏(左端)も出席したIOC会長のトーマス・バッハ氏は、モビリティ分野を新設した理由について、「各国で交通マネジメントは重要な課題になっているが、それはオリンピック開催時の課題でもある。そういった課題に対応できる新たな考え方を導入するために『自動車』にとどまらない『モビリティ』という分野を新たに設けることにした」と説明する。
トヨタ自動車社長の豊田章男氏は、「スポンサー活動の中核となるのは、やはり2020年の東京オリンピックだろう。世界中の人々が日本、そして東京に注目するときに、未来のモビリティのショーケースを見せたい」と語る。
この未来のモビリティのショーケースこそ、「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の1つで自動運転(自動走行)システムの開発を担当する「SIP-adus」が、2020年に東京での実現を目指している次世代公共交通システム「ART(Advanced Rapid Transit)」だ。ARTは、自動運転車とICTを活用した次世代公共交通であり、今回のTOPパートナー契約の対象に指定されているVehicleとMobility Servicesの融合によって実現可能なものだ(関連記事:東京都が2020年に自動運転バス「ART」を導入へ、“交通弱者”に優しく)。
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