矢野経済研究所は、国内の清涼飲料受託製造市場に関する調査結果を発表した。2024年度の市場規模は5700億円で、2019年度水準まで回復する見込みだ。市場拡大の主な要因は、加工賃単価の上昇と分析している。
矢野経済研究所は2025年5月12日、国内の清涼飲料受託製造市場に関する調査結果を発表した。2024年度の同市場は、コロナ禍前の2019年度水準まで回復する見通しだ。
同調査は、2025年1〜4月にかけて実施。飲料受託製造企業(パッカー)や飲料メーカー(ブランドオーナー)を対象としたヒアリング調査に、文献調査を併用している。
同社によると、2023年度の市場規模は前年度比7.1%増の5600億円、2024年度は同1.8%増の5700億円に達する見込みで、4年連続の成長となる。同社は2023年度の成長要因として、猛暑により飲料需要が増えたことに加え、ブランドオーナーの多くが加工賃単価の引き上げを容認したことを挙げ、製造量自体は微増にとどまると推察している。
現在の飲料市場の主力はペットボトル製品で、パッカーやブランドオーナーの設備投資は、主にペットボトル対応ラインの強化に向けられている。
大手ブランドオーナーでは、物量やコストの削減、軽量化を図るべく、アセプティック(無菌充填)ラインを導入するケースが多い。パッカーにおいても、大手ブランドオーナーからの受託量拡大に向けてアセプティックラインの導入が求められるが、導入には高額な設備投資が必要なため、現状は、同ラインを導入可能なパッカーは限られている。
ブランドオーナーは、コストや品質、供給リスクを考慮し、自社工場での内製化を進めている。ただし全製品の内製化は難しいため、品目の多様化や柔軟な生産対応が必要な製品、増加しているPB(プライベートブランド)製品への対応はパッカーとの連携が不可欠となる。
同社は、ブランドオーナーとパッカーが戦略的提携を結び、専門性を高めて役割を分担することが競争力強化につながると分析している。
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