アクセンチュアが10年ぶりに社長交代、AI変革で具体的な成果を創出する組織へ製造マネジメントニュース

アクセンチュアは、10年の成長をけん引した江川昌史氏から濱岡大氏へ社長を交代した。新体制はAI時代を見据えた「変革のプラットフォーマー」として、企業の具体的な成果創出にコミットする方針だ。

» 2025年12月01日 07時30分 公開
[安藤照乃MONOist]

 アクセンチュア(日本法人)は2025年11月27日、東京都内で記者会見を開き、同年12月1日付で社長交代を行う人事について説明した。現代表取締役社長の江川昌史氏が代表取締役会長に就任し、後任として現常務執行役員 ビジネスコンサルティング本部統括本部長の濱岡大氏が代表取締役社長に昇格する。

握手を交わす(左)アクセンチュア 次期代表取締役会長の江川昌史氏と(右)同 次期代表取締役社長の濱岡大氏 握手を交わす(左)アクセンチュア 次期代表取締役会長の江川昌史氏と(右)同 次期代表取締役社長の濱岡大氏[クリックで拡大]

江川氏「バトンを渡す絶好のタイミング」

 江川氏は2015年9月の社長就任以来、約10年間にわたり同社の急成長をけん引してきた。「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉が定着する前から「デジタル変革」を掲げ、 近年では「AI Reinvention(AIによる全社変革)」を主導してきた。在任期間中にアクセンチュア日本法人の売り上げを約7倍、社員数を5倍に伸ばし、10期連続の2桁成長を達成した実績を持つ。

 今回の交代について江川氏は、ビジネス環境がデジタルからAIへとシフトする中、「次の10年にバトンを渡す絶好のタイミング」であると強調した。今後も顧客の変革パートナーであり続けるためには新体制への移行が必要であるとし、「そのバトンを渡すのに最も適した人物を選んだ」と語った。

 後任の濱岡氏は1998年の入社以降、江川氏と共に約25年にわたりアクセンチュアで経験を積んできた仲である。2人は同じクライアントを担当するなど数々のプロジェクトで連携しており、江川氏は「彼の人となりもよく分かっている」と信頼を語る。長年顧客の成果に真摯(しんし)に向き合い、市場の変化を恐れず常に新しいことへチャレンジしてきた濱岡氏が、AI時代の新たなリーダーとして適任であるとの判断に至った。

新体制は明確な目標を達成するための“変革のプラットフォーマー”を目指す

 新しく社長に就任する濱岡氏は、戦略コンサルティングや業務コンサルティングの領域に強く、直近ではビジネス コンサルティング本部を統括し、顧客企業のCEOとの対話を通じて変革を支援してきた。就任後は日本市場の責任者として事業拡大と人材強化、AI主導の変革を指揮するとともに、アクセンチュアのグローバル経営委員会(GMC)のメンバーにも就任予定である。

 濱岡氏が掲げる構想は、アクセンチュア自体が「変革のプラットフォーマー」となることである。これは、単なる自社のリソース提供だけでなく、グローバルのネットワークや蓄積されたノウハウ、パートナー企業との連携を含めたエコシステム全体へのアクセスを顧客に提供する仕組みだ。

「コンサルティング業界は現在、従来の分析/提言型から、具体的な成果の創出へと役割がシフトしている。売り上げや生産性といった、クライアントの具体的かつ明確なゴールを設定した上で、その変革を完遂する体制を強化していく」(濱岡氏)

 また、今後の方針として、引き続き事業拡大と人員増を継続する姿勢を示した。組織の巨大化による硬直化を懸念するのではなく、むしろそのスケールメリットを生かすことで、個々のプロジェクトにおけるスピードと機動力を高めていく考えを示した。

アクセンチュアが目指す「変革のプラットフォーマー」 アクセンチュアが目指す「変革のプラットフォーマー」[クリックで拡大]出所:アクセンチュア

江川氏は会長としてグローバル視点の支援を続ける

 会長に就く江川氏は、新体制を後方から支えつつ、日本のガバナンス強化や財界、政府関連の活動を担う。また、引き続きアジア・太平洋(APAC)地域の共同CEOおよびグローバル管理委員会のメンバーも兼務する。

 社長退任後は、過去10年で築き上げた「人材」「人材領域の幅」といった経営基盤を盤石(ばんじゃく)なものとし、日本で培った「変革の成功モデル」をAPAC全体へと展開する構想を抱く。日本とアジア双方の成長をリンクさせることで、グローバルにおけるアクセンチュアの存在感を高めていく役割を継続する方針だ。

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