促進酸化処理に対して、気液界面放電による水処理技術は、装置構成も簡素で、使用する酸素の量も少ないため、装置コストと運用コストを両方とも低減できる。
気液界面放電では、傾斜面に配した接地電極の上に工場排水を流して、湿気を持った状態の酸素(湿潤酸素)雰囲気化で、工場排水液面の上に接地されている高電圧電極からパルスコロナ放電を行う。これによって湿潤酸素中の水が分解してOHラジカルやオゾンが生成する。このOHラジカルが工場排水に溶け込んで過酸化水素となり、さらにオゾンと反応して工場排水中でOHラジカルを再生成する。最終的に、このOHラジカルが難分解性物質を分解するという寸法だ。
促進酸化処理との最大の違いは湿潤酸素を用いることだ。促進酸化処理では最終的に湿潤状態になった酸素は再利用できなかったが、気液界面放電では問題なく再利用が可能だ。このため、運用コストと関わりの深い酸素使用量を90%削減できる。また工場排水処理に掛かるエネルギー効率も、気液界面放電は促進酸化処理の2倍以上を達成している。
オゾン発生装置やオゾン分解塔といったものが不要なので装置コストも大幅に低減できる。気液界面放電を行う仕組みもモジュール化が可能なので、装置コストのさらなる低減につなげられる。
将来的には1日当たりの処理量をさらに増やせるようにして、工場排水よりもさらに規模の大きい下水処理にも適用したい考えだ。
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