RYODENは、2025~2034年度の新たな中長期経営計画「ONE RYODEN Growth 2029|2034」とスマートアグリ事業の取り組みについて説明した。
RYODENは2025年5月20日、東京都内で記者会見を開き、2025~2034年度の新たな中長期経営計画「ONE RYODEN Growth 2029|2034」とスマートアグリ事業の取り組みについて説明した。
RYODENは1947年に三菱電機の販売代理店として創業。2020~2024年度の中期経営計画「ICHIGAN2024」では商社の枠を超えた事業創出会社への発展を掲げ、売上高2600億円、営業利益100億円、営業利益率3.8%、新事業売上高220億円などを目指したが、いずれも2024年度は達しなかった。項目ごとに見れば期間中に達成した年度もあった。「2022年度などは半導体不足の中で市場が先行して動き、数字的にはかなり好調だった。中期経営計画にかなり近づいたが、2024年度はその反動を受けて停滞した」とRYODEN 代表取締役社長の富澤克行氏は語る。
中長期経営計画のONE RYODEN Growth 2029|2034では、同社が創業100周年を迎える2047年の経営環境として、人口動態の変化、世界のパワーバランスの変化、気候変動、資源/エネルギーの変化、テクノロジーの変化、価値観の変化という6つの大きなトレンドを捉え、そこに向かってありたい姿となる「未来を共創するエクセレントカンパニー」をビジョンに定めた。そして、ONE RYODENとして事業創出会社への成長を加速させる。
「最近は不確実性が高く、中期経営計画の作成を取りやめたり、期間を短くしたりする企業もある。中長期経営計画の策定は、動きとしてはそれに逆行している。ただ、市場に合わせて変化することも大事だが、100年企業になるために何を考えなければならないか、どんな変化を続けていかなければならないかを明確にしたかった」(富澤氏)
財務目標としては、2029年度に営業利益135億円、営業利益率5.0%以上、ROE(自己資本利益率)10.0%以上、2034年度に営業利益率7.0%以上、ROE15.0%以上などを掲げている。成長投資も2029年度までの5年間で250億~350億円行う。「現状を見ると、かなりチャレンジングな目標だが、前中計でも変革に向けた取り組みとしては進捗したものがあった。これらをさらに加速させることで、達成できると認識している」(富澤氏)。
具体的にはイノベーション戦略、人財戦略、サプライチェーン戦略、ステークホルダーエンゲージメント戦略、財務戦略、ガバナンス戦略という6つの戦略の実行と、価値創出、価値提供、価値循環の3つの強みの強化を図る。
イノベーション戦略では、成長性の高いグローバルサウス(南半球の新興国)、市場規模の大きい中国、技術革新が速い北米を中心にグローバル展開を強化する。「これまでは日系企業の進出に合わせて動いてたが、これからはわれわれが自ら市場開拓できるところにリソースを重点投入する」(富澤氏)。
特に中国のFA事業はローカルメーカーを取り込み、2024年度に過去最高の売り上げを記録したという。「中国ローカルの半導体製造装置メーカーにシーケンサーやサーボ、工作機械メーカーにはNC装置が売れている。売り上げの大半が中国メーカーだ。中国ではEV(電気自動車)が、大型化しており、その変化に対応しなければならないローカルメーカーに入り込むことができている。エネルギーマネジメントに対しても、積極的な中国企業が増えている。中国は市場が停滞していると伝えられることが多いが、伸びているところは伸びている。そことビジネスができるようになった」(富澤氏)。
近年は中国メーカーも、海外市場の獲得を狙い、東南アジアなどへ進出している。「中国メーカーがタイに進出する際のサポートなども求められている。このニーズをしっかり取り込みたい」(富澤氏)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.