アイシン・コスモス研究所は、「人とくるまのテクノロジー展2014」において、かつおだしの主成分であるイノシン酸を用いたレアアース回収技術を紹介した。
アイシン・コスモス研究所は、「人とくるまのテクノロジー展2014」(2014年5月21〜23日、パシフィコ横浜)において、かつおだしの主成分であるイノシン酸を用いたレアアース回収技術を紹介した。
現在、永久磁石に用いられているネオジムやジスプロシウムなどのレアアースをリサイクルする際には、PC-88Aと呼ばれるリン酸系の有機溶媒を用いることが多い。同社は、こういった有機溶媒を用いない、「環境に優しい」(同社)バイオ材料によるレアアース回収方法を検討していたという。
今回開発した技術は、数十g/l(リットル)という極めて高い濃度のイノシン酸水溶液を用いて、ネオジムを沈殿回収するというもの(だし汁など食用での濃度は数g/l)。永久磁石を塩酸などで溶解した後、鉄成分を除去した塩化ネオジムなどが溶け込んだ水溶液に、高濃度のイノシン酸水溶液を投入する。これだけで、ほぼ100%の収率でイノシン酸が配位したネオジムの沈殿が得られる。そして、このネオジムの沈殿を炭酸ナトリウム水溶液に投入すると、ネオジムの炭酸塩が95%の収率で回収できる。後は、ネオジム炭酸塩から金属ネオジムを生成する手法として確立されている溶融塩電解を使えばリサイクルが完了する。
アイシン・コスモス研究所では、実験室内において、塩化ネオジム水溶液からネオジムの沈殿を得て、ネオジムの炭酸塩として回収するプロセスを確認している。2014年は、実験室内で、永久磁石を酸溶解する段階からネオジムの炭酸塩を得る全プロセスでの実証実験を行う予定。その後、数百lクラスのミニプラントでの実験を行うなどして、2019年ごろまでに実用化したい考えだ。
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