デンソーは、「第43回東京モーターショー2013」において、微細藻類からディーゼルエンジンに使用できるバイオ燃料を生産する取り組みの最新状況を紹介。2020年までに、バイオ燃料を1ヘクタール当たり年間25トン生産できる技術の開発にめどを付けたい考え。
デンソーは、「第43回東京モーターショー2013」(2013年11月20日〜12月1日、東京ビッグサイト)において、微細藻類からバイオ燃料を生産する取り組みの最新状況を紹介した。
同社は、光合成により体内にオイルを蓄積する微細藻類「シュードコリシスチス」を使って、工場などから排出される二酸化炭素を吸収させて、ディーゼルエンジンに使用できるバイオ燃料を生産する研究を進めている。シュードコリシスチスは、菜種など食用植物の3〜10倍の生産効率でバイオ燃料を生産できることが知られている。
既に、善明製作所(愛知県西尾市)内に、容量3万3000l(リットル)の培養プールを建設しており、同製作所から排出される二酸化炭素や排水でシュードコリシスチスを培養している。シュードコリシスチスから生産したバイオ燃料を同製作所で使用すれば、トータルの二酸化炭素排出量が増えないカーボンオフセットを実現できる。また、バイオ燃料を抽出した後の絞りかすについても、飼料などへの利用を検討している。
デンソーは、シュードコリシスチスからのバイオ燃料の生産能力をさらに向上するためにさまざま取り組みを進める計画だ。まず、同じシュードコリシスチスの中でも、バイオ燃料の生産能力が従来比で1.8倍のものを用いる。次に、善明製作所における大規模実証実験の結果を基に、最適な日射条件や水温などを探り、そういった環境条件を自動的に作り出せるようなシステムを構築する。この自動化は、人件費の低減も視野に入れた取り組みだ。
さらに、シュードコリシスチスに対する遺伝子操作も行う。なお、この遺伝子操作は、特定の遺伝子を削除してバイオ燃料の生産効率などを高めるもので、大豆などで知られる遺伝子組み換えとは異なる。遺伝子組み換えは、他の生物の遺伝子を組み込むこともあって国内では禁止されている。
これらの取り組みを進めて、2020年までには、シュードコリシスチスからバイオ燃料を生産する技術の研究開発にめどを付けたい考え。1ヘクタール当たりの年間生産量は25トンが目標となっている。「現在、最も効率よくバイオ燃料を生産できるアブラヤシでも、1ヘクタール当たりの年間生産量は6トンにとどまる。微細藻類からバイオ燃料を生産する研究は当社以外でも進められており、2030年には広く利用されるようになるだろう。当社はそれに先駆けて、早ければ2023年ごろにも1ヘクタール当たりバイオ燃料の年間生産量が25トンの技術を展開できるようにしたい」(デンソーの説明員)という。
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