牧野フライス製作所はニデックによるTOBを議論するために設けた特別委員会が、ニデックに対してTOBの延期や買い付け予定数の変更などを求める要望書を送付したと発表した。
牧野フライス製作所は2025年1月15日、ニデックによるTOB(株式公開買い付け)の実施予告を議論するために設置した特別委員会が、ニデックに対してTOBの延期や買い付け予定数の変更などを求める要望書を送付したと発表した。
ニデックは2024年12月27日に牧野フライス製作所に対して、2025年4月4日にTOBを開始することを表明した。買い付け期間は31営業日で、買い付け価格は1株当たり1万1000円となっている。完全子会社化することを目的に、所有割合で50%となる1169万4400株以上の取得を目指している。ニデックはTOBの予告と合わせて、企業価値の最大化に向けた経営統合に関する意向表明書を発表した。ただ、事前の協議はなく、牧野フライス製作所は2025年1月10日に、独立役員の社外取締役で構成される特別委員会を設置してTOBについて検討することを明らかにした。
特別委員会はニデックに宛てた要望書の中で、「(意向表明書では)貴社が当社を完全子会社化することによって生じるシナジーについて、一般的・抽象的な記載しかなく、具体的なシナジーへの言及が一切ないため、現時点で提供されている情報のみでは、本提案による企業価値向上の有無及び程度を判断することは極めて困難であり、今後の精査には相応の時間を要する」と述べ、さらにTOB開始の2025年4月4日が牧野フライス製作所の2025年3月期決算の直後であることを指摘した。
その上で特別委員会は「本提案の十分な検討のために必要なリソースの確保が困難な時期までに、その是非につき当社に検討を迫る貴社の姿勢は、やはり、当社の企業価値及び株主共同の利益の最大化の観点に照らして、当委員会としても、疑問といわざるを得ない」とコメントし、株主が2025年3月期決算の内容を踏まえてTOBの是非を判断できるよう、決算発表予定日の約1週間後となる2025年5月9日までTOBの開始を延期するよう要請した。
また、要望書ではTOBの買い付け予定株式数についても、「当社の完全子会社化を目的とした提案であるにも拘らず、本公開買付けにおける買付予定数の下限を、(スクイーズアウトのための株式併合にかかわる議案を株主総会で可決するために必要な3分の2を下回る)当社株式の総議決権数の50%とすることは、当社の株主の皆さまを強い強圧性にさらすもの」と指摘。金融庁の「公開買付けの開示に関する留意事項について(公開買付開示ガイドライン)を参照しながら、ニデックによる買い付け予定株式数の下限を、株式の総議決権数の3分の2に相当する1556万4200株とするよう要望した。
なお、ニデックは2025年1月15日、牧野フライス製作所の要望書を受けて「内容を真摯に検討し、追って誠実に回答いたします」とコメントを発表している。
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