「4Kの次はスマート」 家電各社がテレビへFirefox OSやAndroid TV、Tizen、Web OSなどを搭載してのスマート化を進めている。テレビを買うとき、値段や画面サイズなどに加えて、OSをチェックすることが当たり前になる時代が始まったのかもしれない。
薄型化の次はハイビジョン、そして3D、さらには4K。2015年には“スマート”機能。家庭用テレビが放送波の受信機とパッケージソフトのディスプレイであれば良かった時代は過ぎ去ろうとしており、家電メーカー各社はインターネットコンテンツやアプリケーションも楽しめ、家庭内エンタテイメントの集約をテレビを通じて行う構想を打ち出している。
それはつまりテレビの高機能化と等しく、各社はより高い機能を持った、リッチなOS(オペレーティングシステム)をテレビに搭載することで、テレビの高機能化=スマート化を実現しようとしている。2015年1月5日(米国時間)より米ラスベガスにて開幕した「International CES」では各社が、強力なOSを搭載したスマートテレビを発表している。
パナソニックはFirefox OS、ソニーとシャープはAndroid TV、SamsungはTizen、LG ElectronicsはWeb OSと選択するOSはさまざまながら、提供しようとしているのは、アプリケーションを含めたさまざまなコンテンツを、テレビのリモコン1つでスマートに楽しめるという体験の提供だ。
ただ、テレビを情報のハブとする構想は以前から存在しており、テレビのリモコンからHDDレコーダーを操作したり、YouTubeなどのネットコンテンツや「VOD(ビデオ・オン・デマンド)」サービスなどを楽しむ機能の搭載は既に一般化している。また、TizenやWeb OS搭載のテレビも既に販売されている。「テレビをスマート化しました」では消費者の反応も薄いだろう。
今回のInternational CESで発表された新製品の多くは春ごろからの販売が予定されており、どれだけ既存製品と違うのか詳細は不明だが、「各種コンテンツへのアクセス性を高めた」(パナソニック)、「Google CastやGoogle Playからのダウンロードにも対応する」(ソニー)、「スマートフォンとBluetooth LEで連携し、より統合されたエンタテイメント体験を気軽に楽しめる」(Samsung)など、各社ともよりリッチな体験を提供するという点では共通している。
また、各社のスマートテレビへの注力も今までにないほど高まっている。パナソニックのFirefox OS搭載スマートテレビは現時点でまだ「CX850シリーズ」2モデルのみの発表だが、ソニーはAndroidを全面的に採用する方針を明らかにしている他、Samsungは2015年のスマートレテレビ全製品にTizenを採用する計画を発表しており、2015年は明らかに「第2世代スマートテレビ」と呼べる製品が多く市場に登場することになるだろう。
OSはあくまでもOSでなので「テレビをOSで選ぶ」という事態が起こるとは考えにくいが、各社がOSの特徴を生かした製品作りをしてくることは容易に想像できる。テレビを買うとき、値段や画面サイズ、端子類のほかにOSをチェックすることが当たり前になる時代が始まったのかもしれない。
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