調査会社のガートナージャパンは、先進技術が普及段階のどこにあるかを示す「ハイプサイクル」の2014年日本版を発表した。その中で、エンタープライズ向け3Dプリンティングは「幻滅期」に、コンシューマ向け3Dプリンティングは「過度な期待のピーク期」にあると指摘した。
調査会社のガートナージャパンは2014年10月29日、「日本におけるテクノロジーのハイプサイクル:2014年」を発表した。その中で、エンタープライズ向け3Dプリンティングは「幻滅期」に、コンシューマ向け3Dプリンティングは「過度な期待のピーク期」にあると指摘した。
ガートナーのハイプサイクルは2000を超えるテクノロジーを119の分野にグループ化し、その成熟度、企業にもたらすメリット、今後の方向性に関する分析情報を図で表したもの。先進的な技術が「大きな期待」「幻滅」「最終的な安定普及」といった共通のパターンで定着することから、それぞれの技術がこのハイプサイクルのどこに位置するのかを示した調査資料だ。1995年からグローバル版を展開しているが、「日本におけるテクノロジーのハイプサイクル」は2007年より開始している。
今回の調査では、エンタープライズ向け3Dプリンティングが「幻滅期」、コンシューマ向け3Dプリンティングが「“過度な期待”のピーク期」にあるという結果となった。
コンシューマ向け3Dプリンティングは、低価格のデスクトップ型の3Dプリンタが登場し、オフィスや研究所、一般ユーザーにとって入手しやすくなり、カスタム・デザインの品物をコンシューマが作製することが可能になった。一方で、3Dプリンタで銃や武器が作製されたニュースも見受けられ、普及のためには著作権や関連の法律を確認する必要があることを同調査では指摘している(関連記事:殺傷能力がある拳銃を作れる3Dプリンタは法的に規制すべきか?)。
一方、エンタープライズ向け3Dプリンティングは現在「幻滅期」だとするが、これまでほぼ四半世紀にわたり、製品の試作や少量部品の製造に使用されてきた実績がある。技術の進展によって低価格製品が登場し、製造業に限らず、企業の業務に幅広く利用することも可能になりつつある。歯科矯正や補聴器など、3Dプリンタを使用した新たな用途やビジネスモデルを見つけていくことが重要だと同調査は示している。
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