コニカミノルタは、有機EL照明事業を本格的に始動させるため、山梨県中央市のコニカミノルタ甲府サイト内に樹脂基板フレキシブル有機EL照明パネルの量産工場を建設する。
コニカミノルタは2014年3月18日、有機EL照明事業の拡大を目指し、山梨県中央市のコニカミノルタ甲府サイト内に樹脂基板フレキシブル有機EL照明パネルの量産工場を建設する。完成は2014年夏の予定で、2014年秋から量産を開始する。
有機EL照明は、薄い、軽い、面光源という従来の照明にない特長があり、次世代照明の1つとして注目されている。コニカミノルタでは、独自技術を発揮できる領域として有機EL照明の事業化に向けた研究開発を進行してきた。
2011年には、りん光発光材料のみを使用した有機EL照明パネルの商品化を実現。2013年には紙のように薄く軽い樹脂基板フレキシブル有機EL照明パネルや低抵抗透明導電膜を展示会で公開した他、2014年に入ってからも、フレキシブルタイプで調色機能付きの薄型有機EL照明パネルや、高効率白色有機EL照明パネルを発表するなど、積極的な取り組みを見せている。
一方で、同時に行ってきたマーケティング活動により、樹脂基板ならではの、軽く、湾曲可能で、割れにくい有機EL照明パネルを提供することで新たなビジネスチャンスを創出できるとし、今回新たに量産工場の建設に踏み切った。
現在建設中の新工場では、生産性に優れるロール・ツー・ロール方式を導入し、白色および調色機能付の樹脂基板フレキシブル有機EL照明パネルを量産する。生産品目は外形寸法が150×60mmで厚さ0.35mm、重量5gの白色タイプと、外形寸法が50×30mm、厚さ0.29mm、重量0.6gの調色タイプのもの。どちらも曲率半径10mmまで湾曲させても発光することが可能なフレキシブル型だ。
生産能力は月産約100万枚(パネル)で、総投資額は約100億円。工場の面積などの情報は「非公表」(同社広報)だという。
同社が有機EL照明の本格的な量産に乗り出すのは初めてのことで、この量産を機に販路の開拓を本格的に進めていく方針だ。同社では秋の量産開始に向け、一般照明や建築分野に加え、電気機器や自動車などへの用途開拓を進めていくとしている。
「国内市場の縮小」「生産による差別化要素の減少」「国内コストの高止まり」などから、日本の生産拠点は厳しい環境に置かれている。しかし、日本のモノづくり力はいまだに世界で高く評価されている。一方、生産技術のさらなる進歩は、モノづくりのコストの考え方を変えつつある。安い人権費を求めて流転し続けるのか、それとも国内で世界最高のモノづくりを追求するのか。今メイドインジャパンの逆襲が始まる。「メイドインジャパンの逆襲」コーナーでは、ニッポンのモノづくりの最新情報をお伝えしています。併せてご覧ください。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.