有機EL高分子発光材料の特許総合力でコニカミノルタが躍進知財ニュース

パテント・リザルトの調査によると、大型有機ELディスプレイ製造向け材料の知財総合力でコニカミノルタが存在感を増してきているという。今後の市場動向を読む。

» 2012年01月23日 11時30分 公開
[原田美穂,@IT MONOist]

 パテント・リザルトは2012年1月19日、ディスプレイや照明に使われる有機ELの製造材料のうち、高分子発光材料の知財動向の調査結果を発表した。調査対象は1993年から2011年11月末までに日本国内で公開された特許情報(総数2855件)*。

 個別の特許ごとに同社が独自に複数軸で重み付けを行い、特許取得企業の競争力を評価した(「特許総合力ランキング」)。

 高分子発光材料は、製造方法の特性から大型ディスプレイ向けに適した材料とされている。

 ランキングでは、1位が住友化学、2位がCambridge Display Technology、3位がMerck Patentとなっている。2位のCambridge Display Technologyは2007年7月に住友化学が完全子会社化した高分子有機ELデバイス開発会社。3位のMerck Patentは独メルクの知財管理会社である。


*調査対象について 1993年1月から2011年11月末までに公開された公報のうち、Fターム「3K107DD60」「3K107DD61」「3K107DD62」「3K107DD63」のいずれか、またはFI「C09K11/06 680」が付与されているものを対象にしている。Fタームについては「自社事業を強化する! 知財マネジメントの基礎知識(4)」を参照。


順位(現在) 順位(2006年末) 企業名 総合力(現在) 総合力(2006年末) 出願件数(現在) 出願件数(2006年末)
1 2 住友化学 1218.5pt 512.5pt 367 148
2 1 Cambridge Display Technology 984.5pt 843.1pt 119 68
3 4 Merck Patent 542.9pt 337.6pt 132 51
4 3 セイコーエプソン 525.8pt 432.2pt 130 96
5 17 コニカミノルタHD 364.8pt 84.1pt 110 45

 日本国内においては上位2社を住友化学グループが独占していることになる。なお、住友化学は大画面有機ELパネル向けの高分子発光材料の量産化を発表している。

 直近5年間に限ってみると、コニカミノルタホールディングスが5年前の17位から5位に躍進しているという。これ以外では、昭和電工や三菱化学も特許総合力を伸ばしている。

fig01 総合力上位5社について現在と2006年の競合状況を比較した図。社名が記載されている円が現在のポジション

 なおこの分析の詳細は、特許・技術調査レポート『特定技術分野の競合分析:有機EL 高分子発光材料』として販売される。

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