日立製作所がエコ・パテントコモンズに参加。製造プロセスとリサイクルプロセスの連携などの情報技術を公開した。
「持続可能な開発のための世界経済人会議」(WBCSD)は2011年7月25日、日立製作所がエコ・パテントコモンズに参加したと発表した。
日立製作所ではエコ・パテントコモンズ参加に際して、日本・米国・ドイツで同社が保有する「使用済み製品に含まれている再利用可能な部品のコスト効率の高いリサイクル手法について」の特許を公開した。
製品生産プロセスでは、企画〜設計〜製品化〜廃棄に至る製品ライフサイクルのうち、廃棄フェーズの効率化を考慮しない設計になっていることが多く、リサイクル工程のコスト増加の要因となっているが、日立製作所が提供した特許は、こうした課題を解消すべく、生産を担う工場と、リサイクル向けの回収工場、再生工場の間で情報共有を実現しているもの。解体手順書の自動生成による解体作業負荷低減、リサイクル時に発生する費用の情報共有によるリサイクルコスト検討の効率化などを図るための技術が盛り込まれている。
エコ・パテントコモンズは2008年1月に設立された組織で、WBCSDが主催している。企業が保有する特許技術のうち、地球環境および生態系を直接的にもしくは間接的に改善または保護する内容のものを対象に、特許の公開を促進することを目的としている。設立時にはIBM、ノキア、ピツニーボウズ、ソニーが参加、その後、ボッシュ、デュポン、ゼロックス、リコーなどの企業も参加している。エコ・パテントコモンズは、自社の環境保護に関連する特許を1件以上公開することが参加資格となっており、会員が公開した特許情報はエコ・パテントコモンズのWebサイトでWBCSD会員企業向けに公開されている。
エコ・パテントコモンズにおける特許公開の対象は、
など。
これらの企業保有特許をエコ・パテントコモンズ経由で公開することで、会員相互の技術利用促進を図ることができる。また、権利放棄ではなく、維持コストを負担しながら積極的に権利を活用、利用目的や実施形態を制限するなどの影響力を保持し、不正な公使を制限できる。
こうした形態で企業が保有特許を公開する背景には、競争優位性が低下した特許においては、独占のための権利行使よりも、利用促進を図ることで市場拡大の機会を獲得したり、相互に特許技術を活用することで、いわゆる「オープンイノベーション」の促進につながるとの期待がある。
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