「Beacon」「NFC」「音響通信」――スマホ活用進む! 購買体験を革新する注目技術リテールテックJAPAN 2014 リポート(2/2 ページ)

» 2014年03月11日 10時00分 公開
[八木沢篤,MONOist]
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スマホが実店舗とECサイトの架け橋に

 凸版印刷のブースでは、スマホを活用することで、店舗販売とECサイトをシームレスに連動させ、販売機会の損失を軽減させるソリューションを披露していた。

 NFC(Near Field Communication)タグが埋め込まれた電子棚札(イシダ製の試作品)に、NFC対応スマホをかざすと、Webブラウザが立ち上がり、その店舗が運営するECサイトに飛び、該当商品の詳細情報を瞬時に表示する。「例えば、店頭在庫がないカラーやサイズを、その場ですぐに自社のECサイトから注文することができる。従来、品切れの場合、顧客は他店や有名ECサイトなどに流れてしまっていたが、直接自社ECサイトに飛ばすことで、販売機会の損失を大幅に低減できる」(説明員)。


スポーツ用品店を模した展示 画像13 スポーツ用品店を模した展示。NFC対応スマホを電子棚札にかざすとECサイトが表示される

 ちなみに、NFCタグが埋め込まれた電子棚札のディスプレイ部分は、凸版印刷の電子ペーパーが採用されている。同電子棚札は、試作品を手掛けたイシダのブースでも、スマホでタッチするとクーポン券がもらえる「NFC搭載 電子棚札」として参考出品されていた。

イシダの展示ブース 画像14 イシダの展示ブースで参考出品されていた「NFC搭載 電子棚札」。バーコード部分の裏側にNFCタグが搭載されているという

 凸版印刷のブースでは、他にも、半導体の個体差を用いたPUF(Physical Unclonable Function)技術搭載ICタグ「SMARTICS-V」による真贋判定ソリューションのデモも実演していた。これは、ICチップの製造工程で発生するシリコン結晶パターンの個体差を、PUFパラメーターとしてデジタル情報に変換し、ICチップを識別する技術である。このPUFパラメーターは、発生パターンが予測不可能であり、かつ恒久的に維持される特徴があるため、半導体の回路パターンが不正コピーされても、PUFパラメーターを複製することができないという。

本物ニセモノ 画像15(左) 欧州などでは洋酒の偽造品が流通するケースがあり、真贋判定のニーズが高いという。こちらは本物の表示/画像16(右) こちらはニセモノの表示。NFC対応のICタグを活用することで、スマホ1つで、どういった流通経路をたどったかを把握できる ※画像クリックで拡大表示


音響通信技術を使ったスタンプラリー

 ヤマハは、スピーカーを利用してデジタル信号の伝送を行う音響通信技術「INFOSOUND」を用いたスタンプラリーサービス「スタンプファン」に関する展示デモを行った。

 INFOSOUNDとは、デジタル情報を音響信号に変調して伝送する技術。通常のスピーカーで再生できる可聴帯域内の高域(約18kHz以上)を利用し、人間の耳にはほとんど聞こえず、音声・音楽とミックスして利用することができるため、店舗やイベントなどでの活用が見込める。QRコードやNFCタグでは、1対1の通信が基本だが、同方式であれば、1対多の情報通信が行える。伝送レートは、最大約80bpsと低速だが、耐ノイズ性が高く、10m以上の領域でもデータ伝送が可能だ。このINFOSOUNDにより、複数の来店者や来場者のスマホに対して、情報を送り、特定のコンテンツなどへ誘導したり、お得情報やクーポンを配信したりできる。

スタンプファン 画像17 ヤマハの音響通信技術「INFOSOUND」を用いたスタンプラリーサービス「スタンプファン」

 スタンプファンは、INFOSOUNDを用いたスタンプラリーサービスを利用するための専用アプリ(iOS、Android対応)である。スタンプファンを起動すると、スマホのGPS情報から、近くで開催されているスタンプラリーの情報が表示される。参加したいスタンプラリーを選択し、地図をヒントにスタンプスポットに近づくと、スマホのマイクがINFOSOUNDを受信して、スタンプを獲得できる。

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