さて皆さんは、車両側で、発進抑制、車間距離の把握、自動加減速、車線維持を自動で行えるということが何を意味しているのかお気付きでしょうか。そう、これらは、話題になっている自動運転を実現するための技術要素なのです。
私個人としては、他に車両が存在していない高速道路環境であれば、何の問題もなく自動運転は実現できると考えています。
目的地まで正確にたどり着くために最も重要となる自車位置の認識は、GPSによる緯度経度情報と、車速パルス/電動パワーステアリング(EPS)の切れ角/ヨーレートセンサーなどに代表される車両の状態や操作情報を把握するセンサーを相互通信させることで精度を飛躍的に向上できます。これも現時点で十分に実現可能な技術です。
ただし、実際の道路環境では歩行者の検知はもちろん、信号がない交差点を通過する際の時の安全確保や、右折/左折時における「行ける/行けない」の判断なども必要です。そういう意味では完全な自動運転についてはまだまだハードルは高いですね。
自動運転に関する報道が多くなされていますが、まだまだ一定の条件下でしか実現できない技術であることは確かです。
道路上を走行する全ての車が自動運転機能を備えていれば一気に実現まで近づきますが、それは早くても数十年にわたって達成できないことです。
自動運転が実現できるか否かは別として、道路上にさまざまなセンサーを設置し、車車間や路車間で相互に通信を行いながら、事故を未然に防げる時代は意外ともうすぐやってくるようにも思います。今後の技術進歩に大きく期待したいですね。
次回はSRSエアバックシステムについて紹介する予定です。お楽しみに!
カーライフプロデューサー テル
1981年生まれ。自動車整備専門学校を卒業後、二輪サービスマニュアル作成、完成検査員(テストドライバー)、スポーツカーのスペシャル整備チーフメカニックを経て、現在は難問修理や車両検証、技術伝承などに特化した業務に就いている。学生時代から鈴鹿8時間耐久ロードレースのメカニックとして参戦もしている。Webサイト「カーライフサポートネット」では、自動車の維持費削減を目標にしたメールマガジン「マイカーを持つ人におくる、☆脱しろうと☆ のススメ」との連動により、自動車の基礎知識やメンテナンス方法などを幅広く公開している。
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