「オートモーティブワールド2015」基調講演にVolkswagenの電子・電装開発部門 専務を務めるVolkmar Tanneberge氏登壇。同氏は「オートモーティブエレクトロニクスの革新」をテーマに同社のカーエレクトロニクスに関する技術開発への取り組みを紹介した。
2015年1月14〜16日に東京ビッグサイトで自動車技術の展示会「オートモーティブワールド2015」が開催された。同年1月14日の基調講演で、Volkswagen(フォルクスワーゲン) 電子・電装開発部門 専務のVolkmar Tanneberge氏が「オートモーティブエレクトロニクスの革新」をテーマに講演を行った。Tanneberger氏はフォルクスワーゲンのカーエレクトロニクスに関する技術開発への取り組みを紹介した。
Tanneberger氏は講演の冒頭から「今後の自動車に関する革新の90%はカーエレクトロニクスが担うだろう。自動車にもたらされる新価値を金額ベースでみたとき、カーエレクトロニクスによるものの割合は、1990年は16%だったが現在は30%にまで上昇している。2020年にはこの数字が50%にまで引き上がるだろう」と今後の自動車開発におけるカーエレクトロニクスの重要性を主張した。
さらに同氏は、2017年にインターネットと接続される「コネクテッドカー」の割合は、新車販売の50〜70%を占め、その売上高は2015年の310億ユーロから2020年には1100億ユーロにまで急増すると予測した。
Tanneberger氏は、フォルクスワーゲンのカーエレクトロニクスに関する技術開発の取り組みとして4つのテーマに分けて語った。1つ目が運転支援システムだ。同氏は2014年7月にフルモデルチェンジした新型「Passat(パサート)」(日本では未発売)を例に、フォルクスワーゲンが開発する運転支援システムの一部紹介した。
新型パサートには超音波センサー、ミリ波レーダー、車載カメラ、照明センサーなどさまざまなセンサーデバイスが搭載されているという。これらのセンサー類を利用して、前方車両を追従して走行する「アダプティブクルーズコントロール(ACC)」や、走行車線の維持を補助する「レーンアシスト」といったさまざまな運転支援システムを実現している。Tanneberger氏はその中でも、レーダーと車載カメラの連携によって、緊急時にブレーキを自動制御するシステムで歩行者の検知も可能にした点をアピールした。
「“駐車”はフォルクスワーゲンにとって重要なテーマ」と語るTanneberger氏は、先述した既に市場投入されている運転支援システムに加え、開発中のより高度なシステムとして自動運転を利用した駐車システムを紹介した。「Trained Parking」と名付けられたその駐車機能では、クルマが特定の駐車スペースへの走行経路を学習することで、駐車を行う際に半自動でそのルートを追従できるという。
また、スマートウォッチなどのモバイル端末から駐車を遠隔操作することも可能になるという。「車載カメラとレーダーからの情報を蓄積することで、クルマが駐車に必要な走行経路を学習していく。今日は雨だから、駐車スペースから玄関の前までクルマを移動させようといった場合、スマートフォンから直接指示すれば、自動でクルマが迎車してくれるといったことも実現できる」(Tanneberger氏)。
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