2009年まで、日本では衝突する前に完全に停止する自動ブレーキが法規制で認められていなかったが、今や部分的ながら自動運転システムも利用されるようになった。後編では、ステレオカメラをはじめとするさまざまなセンサーのおかげで実現した、自動ブレーキ以外の機能について紹介する。
前編では、日本で自動ブレーキが認められていなかった過去や、各社の運転支援システムのセンサーの構成、自動ブレーキでクルマがぶつかる前に停止できる仕組みについて紹介しました。
今回の後編では、センサーの進化によって実現している、自動ブレーキ以外のさまざまな機能について解説します。
追従機能付きクルーズコントロールは、本連載の第12回(関連記事:もはや自動運転レベル!? 進化を続けるクルーズコントロールシステム)でも触れた内容になりますが、前走車に追従するためには前走車との距離と自車の速度を把握して一定に保つ必要があります。
前走車との距離は、富士重工業「アイサイト」のステレオカメラや、レーダーがあれば測定可能ですので、あとは距離を一定に保つように自車の速度を維持すれば良いと言うことになりますね。
「自車の速度を維持すれば良い」と簡単に言いましたが、ここで非常に難しいのが加減速の味付けです。前走車がブレーキをかけたからといって急激に減速してしまうと、乗り心地が最悪な自動車になってしまいます。もちろん前走車が加速して離れていった場合も同様です。
いかにギクシャクせずに自然にレスポンスよく加減速を行う事ができるかが開発陣の腕の見せ所になるわけですが、正直言ってまだまだ発展途上な領域ですね。
実は、レーダーが原因で瞬間的に前走車を見失うシチュエーションというのも存在しています。レスポンス良く加速するようなセッティングにしてしまうと、こうした状況で前走車がいるのに誤って加速してしまう可能性が出てしまいます。
他にもさまざまな懸念事項があるのですが、安全第一でこれらをクリアにした上で、少しでもレスポンス良く追従することが求められています。
アイサイト(Ver.3)などは、前走車のブレーキランプを認識することで、より細やかな制御を実現しているようです。また、横方向からの急な割り込みも、視野の広いステレオカメラだからこそ事前に察知することができ、急減速を可能な限り減らす制御に活用されています。
今は、完全停止/発進/完全停止を繰り返す渋滞中、つまり運転手にとって最も精神的に辛く眠気も襲ってくる道路状況でも、車間距離を一定に保ちながら追従を行ってくれるクルーズコントロールが普及しています。
私も頻繁に活用していますが、一度体感すると他の車に乗りたくなくなるほど、本当に疲労度が軽減されます。これからますます画像処理技術などが向上すると思われますので、驚くほどスムーズな追従制御が実現される日も遠くはないと思っています。
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