脱炭素に向けた世界の自動車部品市場は2030年まで順調に拡大：電動化

富士キメラ総研は、自動車のカーボンニュートラル達成に向けて需要や採用の動きに変化がみられる世界の自動車部品市場を調査し、その結果を「2025脱炭素に向けた自動車部品市場の将来展望」として発表した。

[MONOist]

　富士キメラ総研は2025年1月14日、自動車のカーボンニュートラル達成に向けて需要や採用の動きに変化がみられる世界の自動車部品市場を調査し、その結果を「2025脱炭素に向けた自動車部品市場の将来展望」として発表した。同調査では、内燃機関関連／ボディー関連部品16品目、内装／バッテリー／冷却／外装／電装部品19品目の市場に関して現状及び中長期予測を策定した。

　各部品の軽量化の進展、バイオ／リサイクル材料の採用に関する法規制、一体成形化技術の研究開発の動向などについてもまとめた。

自動車部品35品目の世界市場（内燃機関関連／ボディー関連部品、内装／バッテリー／冷却／外装／電装部品）［クリックで拡大］ 出所：富士キメラ総研

　2024年の内燃機関関連／ボディー関連部品は、自動車総生産台数が減少するものの、EV販売の不調に対して電動車の中では搭載部品が多いHVやPHVの販売が好調なことが寄与し、市場は2023年比で4.2％増の18兆2296億円を見込む。

　短期的には自動車生産台数の回復やHVやPHVの好調などから2026年頃までは市場拡大が見込まれる。しかし、長期的にはEVシフトの流れから、内燃自動車向けの部品需要が大きく減退するため、2027年以降は市場縮小が予想される。2045年の市場は13兆2090億円と予測する。

　内装／バッテリー／冷却／外装／電装部品は、一部の品目が需要減になったものの、2024年の市場は2023年比で5.3％増の26兆5280億円を見込む。一時的にEV需要は鈍化傾向である一方、バッテリーケースや冷却ファン、バッテリー冷却プレートなどバッテリー関連の高成長もあり、しばらくは堅調な市場拡大が見込まれる。2035年以降はMaaS（Mobility-as-a-Service、自動車などの移動手段をサービスとして利用すること）利用増などから電動車を含め自動車の生産台数が減少に転じる可能性があり、それに伴う市場縮小が予測される。2045年の市場は30兆864億円と予想する。

　走行時のカーボンニュートラル達成に向けて、車体重量の重さでエンジンやバッテリーに負担がかかることを回避するため、各部品の軽量化が進む。車種による違いはあるが、特に電動車と比べて重量がある内燃自動車や重量が航続距離にはっきりと影響するEV／FCVは部品の大幅な軽量化が予測される。

　短期的には、材料の樹脂化やアルミ合金化など軽量化に貢献する材料の使用が想定される。また、高強度鉄鋼の薄肉化技術の向上による軽量化への寄与も期待できる。2035年以降は、ギガキャストや異種材料接合など一体成形による部品点数の減少などで軽量化のスピードが加速すると思われる。長期的には金属から樹脂材料へのシフト、引っ張り強度の高い鉄鋼での薄肉化、一体成形による部品点数の削減で確実に軽量化が進展すると予測する。

　注目市場としてECUケースに関しては、2024年は2023年比で99.7％の1兆9149億円を見込む。2045年は2023年比で105.7％の2兆304億円を予測する。自動車生産台数の拡大およびEVシフトや自動運転車の登場によるECU搭載の増加により、自動車1台当たりの搭載員数が増加すると考えられ、2035年頃まで市場は堅調な拡大が見込まれる。

　長期的にはMaaS、カーシェアリングなどの利用増加から自動車生産台数が減少すると予測されるため、2035年以降は市場が縮小する可能性がある。

　バッテリー冷却プレートについては、2024年は2023年比で104.0％の1679億円を見込む。2045年は2023年比で3倍の4813億円を予測する。EVの普及に伴いLiBの冷却需要が拡大するため、2040年頃まで市場は順調に拡大すると予測する。

　サスペンションアームに関しては、2024年は2023年比で98.3％の4374億円を見込む。2045年は2023年比で122.4％の5444億円と予測する。同製品は、一般的に1ホイールにつき1個、車1台当たり4個搭載されるが、特に欧州メーカーの車種では乗り心地重視の設計にすることが多いため、同製品を多く使ったサスペンションを搭載する傾向がある。また、高級車や電動車では乗り心地の改善のために、数が多くなることから、2040年頃まで市場は堅調に拡大するとみられる。

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