近接した基板間を接続するような短いハーネスであれば、条件は基板配線とあまり変わりませんが、長いハーネスでは、条件が異なります。
およそ15cmの配線では1GHz、30cmでは500MHzが共振周波数となります。これが半波長では15センチが500MHz、30センチでは250MHzとなります。
高速信号の基板配線では配線をできるだけ短くし、信号のリターン電流経路などにも注意した配線をしています(図17)。
しかし、ケーブルに対しては意外と対策がなされていません。
ハーネスは意外と大きなEMI源となっています。
ハーネスのEMI対策としては、ハーネス全体の特性を安定させることが重要です。このためにはコネクタを含めグランド接続を強固にする必要があります。特性が安定していれば、ノイズを受けても共振しにくくなります。 長いハーネスは基板や筐体に長い距離を沿って配線することが多く、このような場合、基板や筐体と共振しやすくなります。またハーネスはその性質上、しっかりと固定されず、ある程度動くことがあります。
このハーネスの動きや移動はやはりハーネスと基板や筐体との関係が安定せずに特性が不安定となる原因です。ハーネスの動きに従って電磁放射が変化することがあります。
測定やシミュレーションによって、放射が小さくなる位置にハーネスをしっかり固定する必要があります。
また、別にハーネスを覆って、電界と磁界を放射するような放射対策部品もあります。
前田 真一(マエダ シンイチ)
KEI Systems、日本サーキット。日米で、高速システムの開発/解析コンサルティングを手掛ける。
近著:「現場の即戦力シリーズ 見てわかる高速回路のノイズ解析」(技術評論社)
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