本連載では、工作機械史上最大の発明といわれるCNCの歴史をひもとくことで、今後のCNCと工作機械の発展の方向性を考察する。連載第3回目の今回は、CNCを搭載した機械の比率が高まり、工作機械の標準になった時代に焦点を当てる。
連載第3回の今回は、CNC(数値制御装置)を搭載した機械の比率が高まり工作機械の標準になった時代について紹介する。まず、図1にCNC発展の年表を示す(第1回に続き再掲)。
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これは70年近くに渡る歴史を3つの時期に分けて記載をしている。今回は第2期である1974年〜1997年の期間について説明する。
第1期において基本的な機能が備わったCNCは、工作機械を使いやすくする機能が次々と搭載されていき、製造設備としてより多くの工場で使われるようになっていく。この一連の発展の経緯について、今回の第3回および次回の第4回にて紹介したいと思う。
それでは手動の工作機械に対して、CNCを搭載した工作機械はこの時代にどれほど生産されていたのだろうか。図2は1970年から2022年における日本市場での工作機械のCNC機の比率を表したグラフである。
第2期の始まりである1974年には16.3%であったCNC機の比率が、第2期の終わりである1997年には83.6%へと大きく向上した。注意点としては、図2におけるCNC機の比率は工作機械全体の生産高におけるCNC機の生産高の比率であり、工作機械の台数における比率を表したものではない。
そのため、手動の工作機械に比べて高価格なCNC搭載の工作機械の方が比率としては有利になるわけだが、それでもこの時代にCNC機の比率が大きく増えたということは見てとれるだろう。
CNCが搭載されているからこそ可能となったさまざまな機能が工作機械に備わり、工作機械のオペレーターが“これは便利だ”と感じてCNC機の導入を選択したのである。この時代に工作機械のオペレーターを魅了するどのような機能が登場したのか。それを順番に紹介していきたい。
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