実装分野の最新技術を分かりやすく紹介する前田真一氏の連載「最新実装技術あれこれ塾」。第26回は、第25回に引き続きTSV(Through Silicon Via)について取り上げる。話題先行で実用化までまだ時間がかかると思われているTSVだが、ソニーの裏面照射CMOSセンサーの新製品にはTSVが適用されているのだ。
本連載は「エレクトロニクス実装技術」2013年5月号の記事を転載しています。
FPGA業界をリードするXilinx社とAltera社はTSVを使った2.5次元SiPを大規模、高機能システム向けに積極的に展開しています(図1、図2)。
しかしTSVは話題が先行していると思われています。インテルやQualcom社の意見など、まだ本格的に実用化されるには2〜3年が必要だと考えられています。TSV技術を使うWide I/Oメモリも本格製品化は2〜3年先のWide I/O 2規格の製品からとみられています。
しかしながら、ひっそりとTSV技術は実用化され製品化が進んでいます。ソニーは以前は半導体を手がけていたこともありますが、現在は半導体製造業というイメージはありません。ですがソニーは、アメリカの市場調査会社であるIC Insights社の調査によれば、半導体売り上げで世界12位であると報告されており、また日本のIHSグローバル(株)の発表では11位とされています。これは日本では東芝、ルネサスに次ぐ第3位の半導体メーカーです。
ソニーは、インテルやサムソン、東芝などといった他の半導体製造業と異なり、製品はCMOSセンサが大部分です。同社では、一般のCMOSセンサと比べて感度が高い裏面照射CMOSセンサ(図3)を作っていましたが、昨年(2012年)1月に裏面照射CMOSセンサの新製品を発表しました(図4)。
また、ソニーは今年(2013年)、ISSCC2013でこのCMOSセンサの技術を発表しましたが、これは、これまでCMOSセンサの周辺に配置していた論理回路部をTSVを使ってCMOSセンサの下に積層した3D実装ICでした(図5)。
東芝もTSVを使ったCMOSセンサを使ったカメラモジュールを製品化しています(図6)。
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