元工作機械エンジニアがJIMTOF2024(第32回日本国際工作機械見本市)を振り返ります。
日本国際工作機械見本市(JIMTOF)は、世界4大工作機械見本市(EMO:欧州、IMTS:米国、CIMTS:中国、JIMTOF:日本)の1つに挙げられており、日本のモノづくりの祭典とも言われている。筆者は40年前に大阪で開催された第11回から欠かさず毎回参加してきた。
いつの時代も、エンジニアたちは、新たな製造技術を具現化して展示、提案し、描いた未来工場への夢を提唱し続けてきた。
JIMTOFは1962年に第1回が大阪で開催され、2000年(第20回)までは、隔年で大阪と東京の交互開催であったが、2002年(第21回)以降は東京のみの開催となり、現在に至っている。2022年(第31回)からは拡張された東新展示棟や南展示棟を含めて、東京ビッグサイトの全館を利用している。
2024年(第32回)のJIMTOFは会期中(2024年11月5〜10日)に大きな天候の崩れもなく、速報値ではあるが、来場者数は12万9018人と前回(第31回)の11万4158人に対して13%増となった。コロナ禍前の近年の最多である2018年(第29回)の15万3103人には及ばないものの、大盛況であったと言えよう。
少しさかのぼってJIMTOFを振り返ってみよう。
2014年(第27回)、16年(第28回)あたりは、リージョナルジェットなど航空機産業が大きく活性化した時期でもあり、難削材加工、AM(Additive manufacturing、積層造形)の関心が高まり、新規材料やこれに併せた加工機、工具の展示が目を引いた。
2018年(第29回)は、Industry 4.0、IoT(モノのインターネット)をキーワードに工場の見える化、デジタル化が一気に進んだ。
2020年(第30回)はコロナ禍による中止で代替オンライン開催となったが、2022年(第31回)は、4年ぶりのリアル開催となった。時代は大きく脱炭素社会、SDGsに動き始め、特に自動車の電動化に関する製造技術の変化が注目されるに至った。
2024年(第32回)は、さらにGX(グリーントランスフォーメンション)、DX(デジタルトランスフォーメーション)が加速した新技術のお披露目の場となった。特に、自動車産業において、エンジンやトランスミッションなどに関する部品加工をなりわいとしている企業は事業転換を迫られ、その危機感が新たな工作機械のニーズとなって、EV(電気自動車)対応加工機の開発を促進しているといえる。
このような時代の流れの中で、特に今回のJIMTOFで着眼したい技術を、その背景も踏まえて探ってみたい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.