見えてるつもりで見えていない?――現場の“見える化”進めるSAP、日立、B-EN-GDMS2013 レポート

ITシステムの導入などで“見える化”が進む設計・製造現場だが、実際にはまだまだ見えていない部分も多い。DMS2013では、SAPや東洋ビジネスエンジニアリング、日立ソリューションズが各種“見える化”ツールの提案を行い、人気を集めた。

» 2013年07月03日 13時00分 公開
[三島一孝,MONOist]

 効率的なモノづくりを実現するには設計・製造現場における“見える化”が重要――。そう言われ始めてから久しいが、まだまだITシステムの活用による“見える化”が求められている領域は多い。2013年6月21日まで開催された「設計・製造ソリューション展(DMS2013)」(DMS2013特集)では、エンタープライズIT各社からさまざまな“見える化”提案が行われた。




設備管理ソリューションが人気のSAP

セグメントを明確化しより詳細な提案を行ったSAPブース セグメントを明確化しより詳細な提案を行ったSAPブース

 SAPジャパンは、PLMソリューション、マニュファクチャリングソリューション、SCMソリューション、プロキュアメントソリューション、設備管理ソリューションなどを紹介。特に今回は、来場客の関心に合わせてセグメントを明確化し、より詳細な内容に踏み込んで、ソリューション提案できるブース展開を行ったことが特徴だ。

 提案したソリューションの中で特に人気となったのが、設備管理ソリューションだ。SAPジャパン ソリューション本部 アプリケーションエンジニアリング部 シニアディレクターの鈴木章二氏は「組み立てを行う製造業では、生産のグローバル化が進む中、金型や加工機の管理などの重要性が高まっている。柔軟な生産体制を築くためにも製造設備の管理は欠かせない問題だ」と話す。

B-EN-Gは原価管理を提案

 東洋ビジネスエンジニアリング(以下、B-EN-G)は、製造業向けERP(基幹業務システム)である「MCFrame」の新機能と合わせて、12社のパートナー企業と協賛しMCFrameとの連携をアピールした。

iPadやiPhoneでMCFrameを活用できる「MCFrame for iPad/iPhone」 iPadやiPhoneでMCFrameを活用できる「MCFrame for iPad/iPhone」(クリックで拡大)

 新製品としては、iPadやiPhoneでMCFrameを活用し現場でのデータ入力などが可能な「MCFrame for iPad/iPhone」、グループ経営管理機能を強化した「MCFrame XA 経営管理」、KPI管理機能を加えた「MCFrame BI」などを出展。特にiPad対応については人気を集めたという。「現実的にはiPadから入力を行う場面は少ないと思うが、閲覧だけでも作業の自由度は高まる。動作なども軽快で作業効率の改善につながる」(担当者)。

パートナー企業がMCFrame関連ソリューションを出展

 また今回は特に多くのパートナー企業がMCFrameに関連するテンプレートやソリューションを出展したことも特徴だ。連結会計システムのディーバは、グローバル原価管理ソリューションをB-EN-Gと共同開発。ディーバはDivaSystem ECM(Enterprise Cost Management)」、B-EN-Gは「MCFrame XA 経営管理」として、2013年7月末よりシステム提供を開始する。

 ディーバ執行役員で管理会計事業本部長の岩佐泰次氏は「グローバルの販売会社や生産拠点の連結会計を行うためには、各拠点も含めた原価管理が必須となる。B-EN-Gとの提携により財務部門との関係が強い当社の強みを発揮していきたい」と話している。

 また自動車電装品ミツバのシステム子会社である両毛システムズは、MCFrame用の自動車部品製造業向けテンプレート「RAIC」を出展。自社のノウハウをテンプレート化し、自動車メーカーごとに異なる受発注の仕組みなどに合わせたシステム構築を容易に実現できる点を訴えた。

 両毛システムズ 社会・産業事業本部 製造事業部 製造ソリューション課 課長の田所貴幸氏は「自動車部品製造業は自社の生産情報の管理とともに、自動車メーカーごとに異なる仕様に合わせて受発注などの仕組みを整える必要がある。自社の製品情報を出荷先に合わせた現品票で出荷するなど特有の商習慣に対応したフォーマットを用意した」と話している。

在庫管理システムなどが好調な日立ソリューションズ東日本

 日立ソリューションズおよび日立ソリューションズ東日本は、グループとしての総合力を発揮し、設計、製造から販売まで可視化と問題発見による経営改善につながるソリューションを提案した。

日立ソリューションズ東日本の在庫管理ソリューション 日立ソリューションズ東日本の在庫管理ソリューション。一覧性に優れる点が特徴(クリックで拡大)

 日立ソリューションズ東日本では、2013年6月12日に発売したクラウド型のプロジェクト管理統合プラットフォーム「SynViz S2」(関連記事:日立ソリューションズ東日本、プロジェクト管理統合ツールをクラウドサービスで提供)が人気を集めた。「同ツールは製造業に最適化されたものだが、非常に使いやすいため、製造業以外でもプロジェクトおよびスケジュールを管理するさまざまな業務で利用できると考えている」(日立ソリューションズ東日本事業企画本部 事業企画開発部 企画グループ 主任 小野さおり氏)。

 また導入好調でDMS2013会場でも人気を呼んでいたのが、生販在調整・在庫可視化ソリューション「SynCAS PSIシリーズ」だ。在庫情報や異常の発生などを一覧で表示できるため、誰でも簡単に問題を把握できることが特徴だ。「在庫の問題は経営に直結する大きな問題。しかし部門の複雑化が進む中で、在庫に問題があっても把握することが難しくなってきている。容易な可視化を実現することで、販売機会損失や倉庫コストの削減などを実現できる」と担当者は語っている。

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