SAPジャパンは、インメモリプラットフォーム「SAP HANA」の最新版「SP6」の提供を開始した。ビッグデータへのスマートアクセスを可能とし、データ基盤としての機能を向上。部門横断的なリアルタイム分析の活用などに活躍が期待されている。
SAPジャパンは2013年6月27日、インメモリプラットフォーム「SAP HANA」(以下、HANA)の最新版となる「SAP HANA SP6」の提供を開始した。最新版では、スマートデータアクセス機能が加わったことでHadoopなど、さまざまなデータソースと連携し、あたかもHANA上に全てのデータがあるかのように、リアルタイムの分析が可能。また地理空間情報機能も追加され、分析に位置情報の視点などを追加できるようになった。
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HANAは、インメモリコンピューティングにより、多くのデータ量を高速に処理することが可能なデータプラットフォーム。2010年11月に「SP1」の出荷を開始して以降、対応するアプリケーションを拡大してきた。2012年11月に発売された「SP5」では、HANA上でERPを動作させることを実現し、「対応アプリケーションを拡大する方向性では1つの節目を迎えた」とSAPジャパン バイスプレジデントでビジネスソリューション統括本部長の堀田徹哉氏は話す。
対応アプリケーションの拡大により、業務上での利用分野も広がりを見せる。財務や管理会計など基幹業務プロセスの高度化だけでなく、生産管理、品質管理、安全管理のリアルタイム化や、需要予測、マーケティング分析など、用途は多岐にわたる。「エンジンテストで今までは60分間稼働を続けてテスト結果を分析する形だったが、HANAを活用したことで数秒でテスト結果を判断できるようになったケースなどもある」と堀田氏は話す。
対応するアプリケーションの拡大に区切りがついたことで、最新版ではあらためて統合データ基盤としての機能を強化。データソースとの連携が複雑性を増す中、よりデータ活用をしやすくしたことが特徴だ。
新たな機能として加わったのが、スマートデータアクセス機能だ。これは、HANA上に仮想テーブルを作り、HadoopやSAP Sybase ASE、SAP Sybase iQ、Teradataなどのデータへ仮想ローカルアクセスが行えるもの。圧縮などを活用したスマートクエリ処理により、これらのデータ基盤のリアルタイムデータを、あたかもHANA上のデータであるかのように、分析処理することが可能だ。これにより、データ保存先が異なるシステム間の処理でのシステム構成を大幅にシンプル化することが可能になる。
また、異システム間の連携が容易になるということは、部門横断的な活用が容易になるということだ。そのため、既存の分析基盤を以下の(Step3)のように、高度化することが可能だ。
堀田氏は「ビッグデータのリアルタイム処理統合基盤として提案を進めていきたい」と話している。
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