トヨタ自動車は、2012年9月24日に、小型SUV(スポーツ多目的車)「RAV4」ベースの電気自動車(EV)「RAV4 EV」を米国カリフォルニア州で発売する。同じ電動システムを採用するTesla Motorsの「Model S(モデルS)」の同価格モデルと比べると、電池容量はほぼ同じにもかかわらず、満充電からの走行距離は約3分の2の103マイル(約160km)にとどまる。
トヨタ自動車の米国法人であるToyota Motor Salesは、2012年9月24日に小型SUV(スポーツ多目的車)「RAV4」ベースの電気自動車(EV)「RAV4 EV」を発売すると発表した。同社は2014年末までに2600台の販売を計画している。
RAV4 EVは、カリフォルニア州内のトヨタ自動車販売店で、車両購入もしくはリース契約が可能である。購入する場合の価格は4万9800米ドル(約391万7000円)。連邦政府からの税額控除7500米ドルと州の補助金2500米ドルを受けられるので、実質価格は3万9800米ドル(約313万円)となる。リース販売の場合、登録費用が3499米ドルで、3年契約の1カ月当たりのリース金額が599米ドル。3年間の合計金額は、2万5063米ドル(約197万1000円)になる。
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米国環境保護局(EPA)が定めている、EVが1マイル当たりの走行で消費する電力の量をガソリンの消費量に換算した換算燃費も明らかになった。市街地走行モードが78MPGe(マイル/ガロン相当)、高速道路走行モードが74MPGe、両モードを組み合わせて走行する複合モードが76MPGeである。複合モードの76MPGeを、国内で燃費として使われているガソリン1リットル(l)当たりの走行距離(km)で表わすと、約32.3km/lとなる。満充電からの走行距離は103マイル(約166km)で確定した。
RAV4 EVは、トヨタ自動車が、EVベンチャーであるTesla Motors(テスラ)と共同で開発した車両である。8月末に、テスラのセダンタイプのEV「Model S(モデルS)」の技術発表会(関連記事)に合わせて来日した同社バッテリー技術部門でディレクターを務めるKurt Kelty氏によれば、「RAV4 EVに搭載されている、誘導モーター、インバータ、18650サイズ(直径18mm×長さ65mm)のリチウムイオン電池セルを用いた電池パックから構成される電動システムはテスラが供給している。モデルSとRAV4 EVの電動システムは同じ技術が基になっている」という。
モデルSは、搭載する電池パックの容量が40kWhで、満充電からの走行距離が160マイル(約257km)、価格が4万9900米ドル(約392万5000円)の「S1」という車種がある。RAV4 EVは、電池パック容量が41.8kWh、価格が4万9800米ドルと、このS1とほぼ同じだが、満充電からの走行距離は103マイルと3分の2程度にとどまっている。
価格と走行距離だけを見れば、モデルSのS1と比べてRAV4 EVを購入するメリットは小さい。ただし、現時点で市販されている唯一のSUVタイプのEVであることや、トヨタ販売店による実績あるサポート、トヨタ自動車が仕上げた車両としての完成度などを加味する必要があるだろう。
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