で、スキマが0.45±0.25(mm)の範囲に入る確率は?
ケースと部品Aが3σなら、99.7%ね
イエース! これでユーたちも、分散の加法性が分かってきたみたいダネ!
――ピーンポーンパーンポーン、ピーンポーンパーンポーン
おっ、17時か。定時だから帰らないと。最近は残業規制が厳しいから、そろそろ帰らないといけないんだよね〜。明日、この図面を書いた人にこの計算の話をしてみるよ。ありがとう、おじさん! ありがとう、みんな!
不景気真っただ中の製造業。シグメ製作所も、いまは辛抱なときなのです。デイちゃん、ついでに日本の危機も救って!
よし。俺たちも帰るか。帰ってからいろいろしなきゃいけないこともあるしな。むふふふっ
何なの!? そのキモいほほえみ……。アズー、さっさと帰るわよ!
ほーい。ではデイちゃん、またね! 今度、秋葉原のくり寿司へ一緒に行こうね〜!
3人はデイちゃんの部品Aの公差が落ち着いたことに安心したのか、青い姿をちらつかせながら、京浜東北線に乗り込んで秋葉原へ帰っていきました。秋葉原名物(?)のコスプレーヤーの仲間と勘違いされたため、特に大事にはならなかったとさ。秋葉原なら、オリジナルの姿のままでも、案外大丈夫なのかもしれませんね?
サンプリングデータを基に算出される数値。
μ:サンプルの平均値 σ2:サンプルの分散 σ:サンプルの標準偏差
ケースと部品Aの寸法によってスキマを線形表現できるとき、
(スキマ)=(ケースの溝幅)−2(部品Aの直径)
スキマの分散σ 32は、ケースの溝幅の分散σ 12と部品Aの直径の分散σ22となる。
以下のように求められる。
この関係を応用し、公差を用いれば、スキマのバラツキを以下のように求められる。
(スキマのバラツキの幅)2=(ケースの横幅公差)2+2(部品Aの直径の公差)2
前提として、ケースのバラツキと部品Aのバラツキ・スキマのバラツキは同じ値であることとする(3σなら、入力も出力も0.3%で不良が発生する可能性を含む)。
二乗和平方根を使用する場合は、以上の前提を基に成立するということを頭の片隅に置いておいてください。異なるバラツキの寸法同士をそのまま組み合わせる、というと出てきた結果のバラツキは「?」ということになってしまいます。また、分散の加法性を理解することで、二乗和平方根をさらに活用できるケースが、ほかにもあるのです。これからもアズーたちから目が離せません! (次回に続く)
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