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増えない私たちのお給料、約20年間で男性の平均給与はこんなに下がった!小川製作所のスキマ時間にながめる経済データ(5)(3/3 ページ)

ビジネスを進める上で、日本経済の立ち位置を知ることはとても大切です。本連載では「スキマ時間に読める経済データ」をテーマに、役立つ情報を皆さんと共有していきます。第5回では、給与水準を性別や年齢層別に分けて統計データを見ていきます。

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なぜ、私たちの給与は減っているのか?

 先ほども確認したように、男女合計で見ると私たち労働者のお給料は減っていることが分かります。なぜ、このようなことになっているのでしょうか。いろいろと疑問に思う方もいらっしゃると思いますので、少し考察してみましょう。

 まず、労働者数の変化をグラフ化した図4を見てください。


図4:男女合計の年齢階層別給与所得者数(民間給与実態統計調査を基に筆者が作成)[クリックして拡大] 出所:小川製作所

 世代別の変化も非常に興味深いところですが、黒いラインで表した労働者数の合計数(右軸)に着目すると、労働者数は人口減少下でも増えていることが分かりますね。さまざまな経済指標のピークとなる1997年から横ばいの期間もありますが、2012年頃から増加傾向となっています。

 図5は給与総額の推移(青いライン)をプロットしたグラフです。


図5:日本のGDPと給与総額の比較(国民経済計算と民間給与実態統計調査を基に筆者が作成)[クリックして拡大] 出所:小川製作所

 給与総額は1997年をピークに減少し、2010年から増加傾向となります。図5の赤いラインが国内総生産(GDP)を表します。なお、GDPと給与総額のレベル感を合わせるために、縦軸の表示範囲を調整しています。

 ご覧の通り、給与総額と国内総生産は連動して推移していて、極めて強い相関がある事が分かります。それも当然で、労働者への給与は付加価値(GDP)の分配の一部でもあるわけです。つまり、日本はGDPが停滞しているので、給与総額もほとんど増えていない、ということが推察できます。

 付加価値と給与総額が両方ともなかなか増えない中でも、労働者数は増えています。このため、1人当たりの平均給与は目減りしてしまっている、という関係になっているようです。

 労働者1人当たりの付加価値と給与水準を、連動して引き上げていくのが大切だということがよく分かるデータではないでしょうか。

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筆者紹介

小川真由(おがわ まさよし)
株式会社小川製作所 取締役

 慶應義塾大学 理工学部卒業(義塾賞受賞)、同大学院 理工学研究科 修士課程(専門はシステム工学、航空宇宙工学)修了後、富士重工業株式会社(現 株式会社SUBARU)航空宇宙カンパニーにて新規航空機の開発業務に従事。精密機械加工メーカーにて修業後、現職。

 医療器具や食品加工機械分野での溶接・バフ研磨などの職人技術による部品製作、5軸加工などを駆使した航空機や半導体製造装置など先端分野の精密部品の供給、3D CADを活用した開発支援事業等を展開。日本の経済統計についてブログやTwitterでの情報発信も行っている。


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