増えない私たちのお給料、約20年間で男性の平均給与はこんなに下がった!:小川製作所のスキマ時間にながめる経済データ(5)(2/3 ページ)
ビジネスを進める上で、日本経済の立ち位置を知ることはとても大切です。本連載では「スキマ時間に読める経済データ」をテーマに、役立つ情報を皆さんと共有していきます。第5回では、給与水準を性別や年齢層別に分けて統計データを見ていきます。
「男性の労働者だけ」なら給与は上がっているのか?
続いて、男性労働者のみのデータを眺めていきましょう。「女性の労働者が増えて給与平均値が下がっている」と考える方もいらっしゃるようです。であれば、もしかしたら男性に限ってみると平均給与は上がっているかもしれませんね。図2が男性の世代別平均給与のグラフです。
図1の男女合計のデータよりも全体的に給与水準は上がっていますが、1997年をピークに減少に転じる傾向は変わらないようです。2009年を底にして各世代で増加傾向にありますが、40代だけ横ばい傾向にあるのも同様ですね。残念ながら、男性労働者も全体的に低所得化しているということになりそうです。
表2が男性労働者の1997年と2020年の平均給与をまとめたものです。
世代 | 1997年 | 2020年 | 変化量 |
---|---|---|---|
20代 | 374.8万円 | 352.0万円 | -22.8万円 |
30代 | 550.6万円 | 489.8万円 | -60.8万円 |
40代 | 672.5万円 | 598.0万円 | -74.5万円 |
50代 | 720.6万円 | 661.8万円 | -58.9万円 |
全年代平均 | 577.0万円 | 532.2万円 | -44.9万円 |
全ての世代で平均給与が下がっていて、特に40代では約74万5000円も減少しています。想像以上に男性労働者の給与は下がっているといえるのではないでしょうか。
女性労働者の給与水準推移に見える3つの特徴
続いて、女性労働者の世代別平均給与を眺めてみましょう。図3が女性労働者の世代別平均給与です。参考までに男女合計の平均給与も破線で表現しています。
男性労働者と比べて、3つ大きな違いがあるようです。1つ目は、世代間の違いがほとんどないこと。60歳以上の高齢層を除くと、ほぼ全ての世代で横並びの給与水準となっていますね。
2つ目は、男性労働者と比較して全体的に給与水準が低いことです。パートタイムなどの非正規労働者も含みますので、そうした形で働く女性も少なくないことを鑑みると、全体的な水準の低さ自体は納得感があります。でも、男性との差異があまりにも大きいですね。
3つ目は、男性労働者で顕著だった1997年をピークにした減少傾向がほとんど見られないことです。各世代とも1997年以降もほぼ横ばいのまま推移し、2012年ごろからやや増加傾向に転じています。
表3では女性労働者について、1997年と2020年の平均給与を比較して示しました。
世代 | 1997年 | 2020年 | 変化量 |
---|---|---|---|
20代 | 286.2万円 | 287.8万円 | +1.6万円 |
30代 | 299.2万円 | 310.1万円 | +10.9万円 |
40代 | 279.7万円 | 319.0万円 | +39.2万円 |
50代 | 278.7万円 | 314.9万円 | +36.3万円 |
全年代平均 | 278.9万円 | 292.6万円 | +13.7万円 |
この表を見ると、女性労働者は1997年と比較すると、各世代でプラス変化ですね。特に40代、50代の増加量が大きいようです。男性労働者の平均給与が下がっていて、女性労働者の平均給与が上がっている、というのは大きなポイントだと思います。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.