生きる熟練者の知恵、327工場を構えるパナソニックのIoT革新:MONOist IoT Forum 東京(1)(2/2 ページ)
MONOistを含むITmediaの産業向け5メディアは、セミナー「MONOist IoT Forum in 東京」を開催した。同セミナーのレポートを3回に分けてお送りする。
IoTを活用した「Connected Factory」
IoTを活用した「Connected Factory」への取り組みも推進。比較的新しい「つながる設備」についてはWebサーバ機能付きPLCなどを活用し低コストで接続。一方で古くネットワーク接続機能がない設備についてはセンサーやカメラを後付けし情報を取得できるような取り組みを進めているという。実装ラインなどについては、シーメンスとの連携で統合的に情報を取得できる環境を整備する。
樋口氏は「主に3つの『つながり』を実現する。設備と設備、工程・工場内の各エリア、拠点間のそれぞれのつながりを実現していく。具体的には設備連携により自律的に位置合わせをする仕組みや、生産計画と連動し自動で材料を補給するような仕組みなどの導入に取り組んでいる」と述べている。
樋口氏は、モノづくりの将来の方向性について「シンギュラリティー(技術的特異点)など、AIがAIにより独自進化を遂げる世界などが示されているが、あくまでもモノづくりはフィジカルなもの。全てをデータ化するのが難しい世界にあり、そこで全てをAIに頼るというような世界は当面は来ない」と強調する。
さらに「現段階ではAIにいかに知恵をつけるかというのが大事。知恵というのは従来のモノづくりの知見だといえる。こうしたパナソニック独自の学びを注入したAIエンジンが差別化のカギになる。これを横展開していく。フィジカルを大事にしながらIoTやビッグデータ、AIなどを活用していくということが重要だ」(樋口氏)と今後の展望について述べている。
データを軸に「何を大量に自動処理させたいか」
「MONOist IoT Forum in 東京」の午前中の講演では、パナソニック樋口氏の講演の他、日本マイクロソフトの特別セッションも開催された。
日本マイクロソフトは「データからビジネス変革をもたらすMicrosoft AI and IoT Platform」をテーマとし、データを中心とした産業やビジネスの変革の意義を訴えた。
特にマイクロソフトのクラウドやAIなどの幅広いソリューションを活用することで容易に成果を得られるという点などを訴求。農業機械にカメラを設置し、その画像をマイクロソフトの「Cognitive Services」により、分析することでレタスと雑草を分類し、レタスだけを収穫することが可能になり、農薬の量を大きく低減することに成功した事例などを紹介した。
日本マイクロソフト コマーシャルソフトウェアエンジニアリング本部 Principal Software Development Engineerの畠山大有氏は「データが第4次産業革命時代の石油となる。どんなデータを持っており、活動の中でどんなデータを生み出せるのかという点を考えないといけない。今本当に簡単にこのデータを活用しそれによりビジネス面での成果を生み出せる環境が整備されつつある。『何を大量に自動処理させたいのか』をポイントとして、新たな取り組みを生み出してほしい」と訴えた。
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