重要なのは3Dプリンタよりシミュレーション、アシックスが語るデジタルモノづくり:デジタルモノづくり(2/2 ページ)
2017年2月15〜16日に開催された「Manufacturing Japan Summit」では、アシックス 執行役員 スポーツ工学研究 所長・フェローの西脇剛史氏が登壇。「人に優しいものづくり・ことづくりを目指して」をテーマに講演した。
3Dプリンタよりもシミュレーションが重要
設計現場でも3Dプリンタなどの新たな技術が多く生まれてきているが、西脇氏は「シミュレーションの方が重要だ」という考えだという。
「3Dプリンタについては、次世代モノづくりのカギとは考えていない。それよりもコンピュータシミュレーションのさらなる高精度化について注目している。現在は、シューズの商品化までに何回かサンプルを作ってこれまでの自社製品や他社製品と機能を比べるなど、4回程度の試作を行っているが、これがシミュレーションにより1回で作ることができれば生産のリードタイムは短縮できる。最終的には大幅なコスト削減にもつながる」と西脇氏は述べている。
「コト作り」も展開
同社では「人にやさしいコトづくり」も進めており、店舗型動作分析システム「ASICS FOOT ID」やランニング能力サービス「MY ASICS」、機能訓練特化型デイサービス「Tryus」などの各種サービスを実施している。
ランニングを楽しむ人が増える中で、自分に合ったシューズ選びは大きな課題だ。ASICS FOOT IDは正しいシューズ選びを支援するために画像処理技術を用いて特徴点を抽出するもの。すねの角度、かかとの角度、シューズの倒れこみ角度を算出する。このサービスは現在、東京・銀座のアシックスストアで実施している。
「MY ASICS」は、ランナー個人のレベルや走る頻度に合わせて、トレーニングメニューを無料作成するという双方向型のWebサービス。機能訓練特化型デイサービスは、介護予防にスポーツサイエンスを用いるサービスで、2014年9月に1号店をスタートしており、現在5施設が稼働している。ここでは、なりたい自分を目標設定し、現状の身体機能を測定した後、パーソナルプログラムを作成しトレーニングを進めるというもの。これらのコトづくりを加えることで、モノづくりだけでなくユーザーへの価値を高めることの重要性を西脇氏は訴えている。
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