スマートウォッチなどウェアラブルデバイスは「ガジェット好きが注目するアイテム」というイメージを持たれがちだが、その印象は変わりつつある。CEATEC JAPAN 2015の会場で“ウェアラブルデバイスの今”を追う。
スマートウォッチやスマートグラスといったウェアラブルデバイスは、「一部のガジェット好きが注目するアイテム」というイメージが先行していたが、その印象は変わりつつある。CEATEC JAPAN 2015の会場を通じて、ウェアラブルデバイスの今を追う。
ウェアラブルデバイスを文字通りの“身につけるもの”と定義した場合、旧来から存在する腕時計や歩数計もウェアラブルデバイスだ。こうした旧来からのデバイスを高機能化したのが、スマートウォッチや活動量計と呼ばれるジャンルの製品であり、最も成功している製品としてはFitbitやApple Watchを挙げることができる。
こうした製品は嗜好品としての性格が強く、「必要かどうか」の議論ではなく「欲しいか欲しくないか」の議論となることが多い。そこが市場立ち上がりのネックだと指摘する声もある。しかし、ここに来て嗜好品ではなく必需品としてのウェアラブルデバイスを提案しようとする動きが強まっている。
“必需”の1つとして各社が狙っているのが、法人による従業員の健康/安全管理だ。2014年12月に施行された改正労働安全衛生法でストレスチェック制度が義務化されたように、経営者側が雇用者の健康管理を積極的に行う潮流は加速していくだろう。
京セラが2015年11月より法人向けに販売開始する「デイリーサポート」は、スマートフォンに連動する活動量計とスマートフォンアプリを使って活動量や消費カロリーを可視化、サーバで集計して企業の保険医に通達することで従業員の健康管理を行う。スマートフォンのジャイロを使って、内臓脂肪を推定して表示する機能も有する。
ロシュ・ダイアグノスティックスと共同で、血液検査の結果をデイリーサポートのスマートフォンアプリから読み込んでサーバで管理し、保健師や栄養士、薬剤師などからのアドバイスを得られるサービスも提供する。活動量計自体は個人でも利用できるものだが(対応アプリはAppStore、Google Playから提供される)、同社では導入先に合わせてのカスタマイズも用意し、保健師を置く大企業や保険組合への導入を狙う。
富士通が参考展示している「センサーシューズ」は踵に9軸の加速度センサーとジャイロ、コンパス、感圧センサーなどを搭載、着用者の運動量を計測する他、歩き方や座っているか立っているかなど、人間のさまざまな状態を把握できる。単純な活動量計測にとどまらない計測が可能であるため、歩き方への変化をキーとした工場内作業員の安全管理などへの利用が期待される。
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