大王製紙は、愛媛県の三島工場に新設したCNF複合樹脂の商用プラントが稼働を開始したと発表した。混練や成形加工がしやすく市場での期待が高いCNF複合樹脂を、年間2000t製造できる。
大王製紙は2025年7月29日、三島工場(愛媛県四国中央市)に新設したCNF(セルロースナノファイバー)複合樹脂「ELLEX-R67」の商用プラントが稼働を開始したと発表した。
ELLEX-R67は、CNF化したセルロース67%にポリプロピレン(PP)となじみやすくする樹脂33%を配合した高濃度ペレットだ。混練や成形加工がしやすい、設計自由度の高さを特徴とする。
CNFを複合化したことで剛性が向上し、材料の薄肉化が可能となった。繊維が破断しにくいため劣化があまり進まず、マテリアルリサイクルにも適する。また、再生プラスチックの利用において、質の低下を補う素材としても期待されている。
同社は、顧客の多様なニーズに対応可能な製品展開や製造コストの低減に向け、3基のパイロットプラントを活用したCNFの製造プロセスを開発してきた。特にCNFの特徴を生かした複合樹脂には、市場から多くの期待が寄せられていることから、CNFの前処理工程や複合樹脂の生産性を大幅に改善する製造プロセスを開発した。
開発成果を基に、今回稼働を開始した商用プラントで、日本最大(同社調べ)となる年間2000t(トン)のCNF複合樹脂を製造する。今後は、CNFの利点を生かせる自動車部材を中心として、家電、建材、物流資材、日用品などの分野にも用途展開を拡大するほか、CNF複合樹脂の弱点である耐衝撃性を兼ね備えるグレード品の開発を進めて、CNFの社会実装を加速させる。
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