セレンディクスとJR西日本グループが共同で建設した、3Dプリンタ技術を用いたJR紀勢本線「初島駅」駅舎の利用が開始された。駅舎の躯体組み上げは、約2時間で完了している。
セレンディクスは2025年7月23日、JR西日本グループと共同で建設した、JR紀勢本線「初島駅」(和歌山県有田市)駅舎の利用が開始されたと発表した。3Dプリンタ技術を用いた世界初の駅舎で、躯体組み上げは約2時間で完了している。
新駅舎の面積は9.9m2、鉄筋コンクリート造の平屋建てで、同年3月26日に建設が完了。駅舎内には、2人掛けのベンチの他、券売機と簡易ICカード改札機を備えている。3Dプリンタの特徴である積層痕を生かした壁面は、有田市の名産であるミカンとタチウオをモチーフにした装飾を施している。
駅舎など線路に隣接する建物の建設工事は一般的に、安全面から列車の走っていない夜間に実施するため、工期が通常の建設工事より長期化する傾向があり、鉄筋コンクリート造駅舎は屋根や壁など躯体の設置に1〜2カ月を要する。今回のプロジェクトでは、基礎部分を含め、躯体工事を最終列車から始発までの6時間で完了することを目標にしていた。
駅舎の部材は、立尾電設にて7日間で製造した。建設用3Dプリンタを使用し、ロボットアームの先のノズルから専用の特殊モルタルを吐出して、パーツを出力。その後、内部に鉄筋とコンクリートを流し込み一体化させ、強度を向上させた。完成した合計4つのパーツは、トラックで現地に輸送した。
施工当日は、パーツを積んだ合計4台のトラックを駅前ロータリーに順番に入れ、荷台からパーツをクレーン車で吊り上げ、直接建築場所に設置。約2時間で組み上げ工程を完了した。2時間のうち、トラックの入れ替え時間が約45分だったため、作業時間は正味1時間15分程度で、終電から始発までに予定していた全ての工程を終えている。
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