国内初、土を主原料とするサステナブルでスマートな3Dプリンタ住宅が完成3Dプリンタニュース(1/2 ページ)

Lib Workは、土を主原料とした3Dプリンタ住宅の第2弾「Lib Earth House model B」の完成を発表した。木造とのハイブリッド構造の住宅で、3Dプリント材料は天然素材のみでセメントを一切使用していない。延床面積約100m2規模の3Dプリンタ住宅は「国内初」(同社)だという。

» 2025年07月23日 09時00分 公開
[八木沢篤MONOist]

 Lib Workは2025年7月22日、土を主原料とした3Dプリンタ住宅「Lib Earth House model B」(以下、model B)の完成に伴い、リアルおよびオンラインで記者説明会を開催した。

土を主原料とした3Dプリンタ住宅「Lib Earth House model B」の外観 土を主原料とした3Dプリンタ住宅「Lib Earth House model B」の外観[クリックで拡大] 出所:Lib Work

住宅を誰もが手にすることができる“工業製品”に

 今回完成したmodel Bは1階建ての住宅で、同社施設内(リブワークラボ/熊本県山鹿市)に建設された。延床面積は約100m2で、LDK、トイレ、バス、居室、中庭などを備える。この規模の3Dプリンタ住宅は「国内初」(同社)だという。同社のモデルハウスとしては第2作目となり、「model B プレミアムエディション」(販売額目安:6000万円〜)に位置付けられる。なお、model B 標準タイプの販売額目安は2000万円〜となっている。

今回完成した「Lib Earth House model B」の間取り 今回完成した「Lib Earth House model B」の間取り[クリックで拡大] 出所:Lib Work

 同社代表取締役社長の瀬口力氏は「大工をはじめとする作り手の数が減少していく中、住宅は今後アート化していく。一品物のような形となり、価格が高騰し、一般の人が手を出せなくなる恐れがある。われわれは、3Dプリンタの活用によって、住宅を誰もが手にできる“工業製品”として提供したいと考えている。そのためにも、さらなる工期およびコストの削減に取り組んでいく」と語る。

 model Bは、主構造を木造とし、3Dプリンタで造形した土壁を外装材として用いることで、建築基準法に準拠した建築物として成立している。また、木造部分および全ての3Dプリンタ製の壁は、耐震等級3相当で設計されている。

今回使用された3Dプリント材料について 今回使用された3Dプリント材料について[クリックで拡大] 出所:Lib Work

 壁の主原料となる土は、2024年1月に竣工(しゅんこう)したプロトタイプ「Lib Earth House model A」(以下、model A)と同様、同社の工法と相性が良いという淡路島産の土を採用している。今回、セメントを一切使用せず、収縮やひび割れが起きにくく、従来比で約5倍の強度を持つ新材料を開発し、model Bに採用した。土を主原料とすることで、調湿性や断熱性に優れ、日本の気候風土にも適している。

 「model Bは『サステナビリティ&テクノロジー』をコンセプトに掲げている。model Aでは土に10%ほどセメントを混ぜていたが、model Bではセメントを一切使わず、全て天然由来の素材で構成している。解体時にも土に返すことができる。また、将来的にはさまざまな地域の土を活用したいと考えている。さらにその先では、廃土の利用も視野に入れていきたい」(瀬口氏)

内部の様子(1)内部の様子(2)内部の様子(3) 「Lib Earth House model B」の内部の様子(1)〜(3)[クリックで拡大] 出所:Lib Work
内部の様子(4)内部の様子(5)内部の様子(6) 「Lib Earth House model B」の内部の様子(4)〜(6)[クリックで拡大] 出所:Lib Work
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