モデルCよりも小さなクロスオーバーSUV「モデルB」も2025年に自動車メーカーを通じて台湾で発売予定だ。モデルBは2026年に日本の自動車メーカーでの採用も決まっている。2027年後半には、MPVタイプのEV「モデルD」をベースにした商品が米国で販売される。MPVではより小型の「モデルA」も用意しており、2026年後半に日本で販売される予定だ。モデルAは約20社で採用が決まっており、外観は作り分けて対応する。
商用車もレファレンスデザインのラインアップにある。路線バス型の「モデルT」は台湾ですでに運用中で、2027年の日本投入も決まっている。マイクロバス型の「モデルU」も2027年に日本にやってくる。大型バンやピックアップトラックもラインアップに用意している。
セダンタイプの「モデルE」は、まだ採用する企業が現れていない。関氏は「やろうと決めていただければ、2年以内に必ず出せる」とモデルEに声がかかるのを待っている。
さまざまなEVのレファレンスデザインを用意することで、自動車メーカーがまだEVを投入できていないセグメントを補うこともできるという。
レファレンスデザインの試作車には日本の自動車メーカーも試乗し、「合格」をもらったと関氏は説明した。「日本の企業は鴻海のEVがちゃんとしているのかといぶかしげだった。ディティールはまだ改善の余地があるが、使えるか使えないか、乗っていただくと合格をもらえた。現時点でのベストチョイスではないという結論に至った自動車メーカーもあるが、部品や車両の生産、不具合への対応体制も含めての合格だった」(関氏)と自信を見せる。
鴻海はEVの受託製造の生産体制について、一定の規模を前提に地産地消を重視する。「台湾で生産するモデルもあるが、売る場所で作るのが正しい。米国で売るものは米国で作るべきだ。日本で売るクルマも日本で作りたい。バスに関してはメドがついているが、乗用車も一緒に作ってくれる会社を募集している」(関氏)
日系自動車メーカーとの協業がうわさされていることに対しては「特定の1社に興味があるというよりは、シナジーが得られる会社となるべく早くやりたい。やるからには徹底的に速くやる。私が日本人だということもあるが、鴻海にとっても日本は特別だ。日本とは距離が近いし親和性も高い。EVでの動きが遅い日本は、鴻海にとってのオポチュニティも大きい」と説明した。
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