スズキが2030年度までの新中計を発表、インドに設備投資1兆2000億円電動化(1/3 ページ)

スズキは2030年度を最終年度とする中期経営計画を発表した。現在は2025年度を最終年度とする中計が進行中だが、売上高や営業利益率などの目標値を2023年度に前倒しで達成したことから、新たな中計を策定した。

» 2025年02月21日 13時30分 公開
[齊藤由希MONOist]

 スズキは2025年2月20日、2030年度を最終年度とする中期経営計画を発表した。現在は2025年度を最終年度とする中計が進行中だが、売上高や営業利益率などの目標値を2023年度に前倒しで達成したことから、新たな中計を策定した。

 新中計は、「2030年度に向けた成長戦略」(2023年1月発表)や「10年先を見据えた技術戦略」(2024年7月発表)を踏まえながら具体的な取り組みをまとめた。

新しい中期経営計画の位置付け[クリックで拡大] 出所:スズキ

 新中計は、2030年度末に売上収益(売上高)8兆円、営業利益8000億円、営業利益率10%を目指す(2023年度は売上高が5兆3743億円、営業利益が4656億円、営業利益率は8.7%)。2025年度から6年間の合計で、設備投資は2兆円、研究開発費も2兆円を投じる。設備投資のうち、インド向けが1兆2000億円に上る。また、研究開発費のうち1兆3500億円が電動化やエンジン技術、車両の軽量化やサーキュラーエコノミーなど“エネルギー極小化”に向けた投資となる。

 販売目標は四輪事業が420万台、二輪事業が254万台だ。営業利益の内訳は、四輪事業で7000億円、二輪事業で500億円、マリン事業で350億円。また、公共交通やマイクロモビリティ、バイオガスなど新事業で売上高500億円を目指す。

現在の中期経営計画[クリックで拡大] 出所:スズキ
2030年度の経営目標[クリックで拡大] 出所:スズキ

 販売台数を増やすとともに、商品価値やブランド価値を向上させることで収益性を改善し、EV(電気自動車)比率の増加や労務費の増加、取引基盤の強化などの原材料費の上昇に対応していく。なお、2023年度実績では世界販売は四輪車が316.8万台、二輪車が191.2万台。営業利益は四輪事業が3982億円、二輪事業が390億円、マリン事業が252億円だった。

 新事業に必要な知見を得るためのスタートアップとの協業や、静岡県/インドでの地域との関係強化、地域活性化にも取り組む。スタートアップとの協業は、スズキグローバルベンチャーズ(SGV)を通じて行う。地域との関係強化に関して、インドでは社会起業家の育成や支援による社会発展への貢献の他、スズキファンの拡大を目指す。

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