以下に、「有効作業分析法」の適用上の主な留意点を列挙しましたので、作業分析時の参考にしてください。
「有効作業分析法」は、作業効率の向上や作業時間の短縮を目的とした作業分析の手法の一つです。作業を観察/記録し、作業や動作のムダを排除して効率的な作業設計をするために適用されます。この方法は、動作研究(Motion Study)を基礎としており、最小限の努力で最大の成果を得ることを目的としています。
具体的には、作業動作を最小単位に分解して記録するための分析手法のサーブリック(Therbligs)の活用や、時間研究(Time Study)の活用によって作業時間を測定して、効率的な動作の設計や改善を行います。また、5S(整理、整頓、清掃、清潔、習慣)を通して、作業の効率化を目指すことも効果的です。この手法は、作業効率を向上させるだけでなく、作業者の負担を軽減し、全体的な業務の質を高める効果があります。「有効作業分析法」は、以下の主な基本原則に基づいて作業を評価します。
◇ ◇ ◇ ◇
今日、いかにして生産性を上げ経営体質を改善させるかは、重大な課題です。例えば、作業の自働化や無人化生産システムの開発などの生産技術革新の中にあっても、生産活動の多くは未だに人の作業に頼っているのが実情ではないでしょうか。従って、この“人”の作業効率をさらに高めることは、いつの時代になっても常に直面する重要な課題であるということがいえます。
「有効作業分析法」によるアプローチは、手法的には非常に難解な面が多々ありますが、大きな設備投資を必要とせず、即効的な効果が期待できますので、昨今の厳しい経済状況における経営ニーズにまさにマッチした手法といえます。
この「有効作業分析法」は、“作業の付加価値”に着目し、さらに製品に直接付加価値を生じさせないムダ作業である“無効作業”を主として改善することで、効果を上げることができる作業効率向上技法として確立された分析法です。本分析法の適用により1〜2カ月の短期間の活動で、20〜30%程度の効率向上の達成が可能であるという実績もあります。
MIC綜合事務所 所長
福田 祐二(ふくた ゆうじ)
日立製作所にて、高効率生産ラインの構築やJIT生産システム構築、新製品立ち上げに従事。退職後、MIC綜合事務所を設立。部品加工、装置組み立て、金属材料メーカーなどの経営管理、生産革新、人材育成、JIT生産システムなどのコンサルティング、管理者研修講師、技術者研修講師などで活躍中。日本生産管理学会員。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.