あらためて、「有効作業分析法」は人の作業やそれを構成する動作を“有効”“無効”に分類することによってムダな作業を明確にし、これを改善あるいは排除することにより、作業効率の向上を図ろうとするものです。これを全社内に適用する場合、生産数量、生産形態、管理レベルなどを考慮し、運用面にいろいろと配慮を加えることが重要です。
そのため、表1にある通り、分析対象の職場の生産形態や管理レベルに合わせて、非量産職場用で4段階の分析レベル、中量産/量産用で5段階の分析レベルに分けている点がこの分析法の特徴です。以下に、“有効”“無効”の分類の基本的な定義、分析レベルと運用法などについて説明していきます。
まず、作業者の行っている作業を要素作業ごとに分け、これらを有効作業と無効作業に分類することによってムダ作業を明確にします。これらの分析結果のムダ(無効)作業を改善もしくは排除して、作業者の何ら価値のない動きを働きに変えて作業効率の向上を図ることを目的としています。
有効作業とは、作業者が作業を行うことによって部品や製品が何らかの付加価値を高める結果になる作業や動作をいいます。また、無効作業とは、作業者が行っている作業が、何ら付加価値を生まない作業や動作をいいます。
“有効”“無効”は、最終的には「作業」ではなく「動作」として捉えて判定します。
例えば、“バリ取り作業”は、「作業」レベルでは“無効”であると評価されますが、「動作」レベルでは“有効”と“無効”に分けることができます。“有効”と“無効”の判断基準は以下の内容を参考にしてください。
有効作業と無効作業の分析は、「有効作業分析A」と「有効作業分析B」に従って行います。この有効作業分析A、有効作業分析Bの適用を区分すると表1のようになります。また、表1の中の有効作業分析Aは一般的に概ね非量産の職場用の作業分析で、有効作業分析Bは量産職場、中量産職場用の作業分析として用いられます。
有効作業分析を表1に示す分析レベル(1)~(5)とし、それぞれの分析レベルでの分析改善の対象作業を表わすと表2のようになります。
また、表2の中の“三次無効作業”として挙げられている“過剰加工”“移動、合わせ”“保持”のそれぞれの内容は以下の通りです。
加工のなかで、加工そのもののスピードアップなどで技術的に改善が可能な部分と、工具の寿命などを考慮した加工で、経済的に改善が可能な部分とがあります。このように改善が可能な部分の加工を指します。
主体作業を行うために必要な補助的な作業で、加工品の操作や機械操作などを指します。
加工や組み立て、検測などの主体作業を行うために、部材や部品、治工具類などを人力で支える作業など
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