以上を踏まえると、図9右図のTlossまでの変数は上から順番に値を決めていけばよく、それ以降の変数は他の変数と一緒に考えて決めていく必要があることが分かる。すなわち、パラメーターは、
で、未知数は、
とすればいいものと考えられる。ここで、未知数の数は式の数と一致している(これはある意味、評価プロセスの妥当性を示唆している)。
図9より、パラメーターと未知数の切り分けができた。パラメーターとした変数のみで、再度DSMを適用すると図10となる。この結果の意味するところは、図10右図の上部のパラメーターから順番に決めていけばいいことを意味する。これから、上から8番目までのパラメーターが図7左図の剛体モデル、10番目までが図7中央図の弾性体モデル、12番目までが図7右図の弾性体+制御モデルに相当することが分かる。
以上から、図7で考えた設計プロセスが妥当であったことが確認できた。ここで注意しなければならないのは、図9と図10に示すDSMの左図の入力は設計者自らが行うということだ。従って、DSMを適用する際には、対象とする設計問題の設計変数間の関係を理解していることが前提である。また、設計は設計者自身の考え方があるので、結果は人によって異なることもある。
なお、最終的に決めた設計に関するパラメーターは図7に含まれるものに加えて、設計のプロセスで決めたパラメーターもあり、最終的に表2のようになった。表中で黒色の字は仕様として最初から決まっていたもの、ピンク色の字は各プロセスで付随的に決めたものである。
次回は「1Dモデリング実現のための基礎」について紹介する。 (次回へ続く)
大富浩一(https://1dcae.jp/profile/)
日本機械学会 設計研究会
本研究会では、“ものづくりをもっと良いものへ”を目指して、種々の活動を行っている。1Dモデリングはその活動の一つである。
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