マツダの2024年のグローバル生産台数は、前年比4.2%減の120万1049台と3年ぶりに減少した。メインの国内生産が伸び悩み、同10.7%減の74万9428台と2年ぶりのマイナスだった。海外生産が伸長したことで、世界生産に占める国内生産比率もこれまでの3分の2程度から62%まで低下している。「CX-90」や「CX-70」など「ラージ商品群」の生産は増えたものの、「CX-8」や「CX-9」など従来のSUVモデルの生産終了が響いた。また、主力モデルの「CX-5」が同18.8%減と大幅減となったことも全体のボリュームを押し下げた。
国内販売の低迷について専務執行役員兼CFOのジェフリー・H・ガイトン氏は2025年2月7日の決算説明会で「『CX-80』の導入の遅れや、ディーゼルエンジン車の優遇税制終了など、要因はいくつかある」と説明した。
一方、海外生産は好調で、前年比9.0%増の45万1621台と3年連続のプラス。8社の海外生産で最も高い伸びを示した。要因は、需要が堅調な北米で、米国工場を2直化したことに加えて、メキシコで「マツダ2」「マツダ3」の生産が増えたことで、北米トータルでは同19.2%増と大きく伸長した。
ただ、タイは現地の経済低迷による需要減が続きマツダ2や「CX-30」の在庫調整を実施し、前年比9.7%減。中国もCX-5は増えたものの、マツダ3の減産や「マツダ6」「CX-4」の生産終了、市場のEVシフトの影響などにより同8.6%減と低迷した。
マツダも足元の減産が顕著だ。12月単月のグローバル生産台数は、前年同月比11.5%減の9万513台と5カ月連続で減少した。中でも海外生産は、同20.9%減の2万8165台と9カ月ぶりにマイナスへ転じた。タイが工場内で組み立てを行うフォードブランドのライン改修を受けて生産を停止し、0台となった。中国もCX-30の増産やEV「EZ-6」の純増などがあったが、マツダ3の減産が大きく、同41.1%減となった。メキシコも米国向けCX-30の減産で同2.5%減、唯一プラスの米国は同21.9%増と引き続き好調で、北米トータルでは同5.1%増とプラスを確保した。
国内生産も伸び悩み、前年同月比6.5%減の6万2348台と5カ月連続のマイナスだった。CX-90が同82.4%増と大幅に増加したが、生産終了したCX-8の反動の他、主力のCX-5が同24.5%減の大幅減が響いた。
三菱自動車の2024年のグローバル生産台数は、前年比7.7%減の94万4708台と2年ぶりに前年実績を下回った。8社の順位ではスバルを抑え7位だったが、その差は7000台弱と拮抗(きっこう)している。要因は海外生産の低迷で、同11.5%減の46万3092台と3年連続で減少した。フィリピンやベトナムは堅調だったが、主力のタイが経済低迷で同14.7%減、インドネシアが同10.8%減と低迷したあおりを受けた格好だ。その結果、アジアトータルでは同12.0%減となった。
国内生産は、前年比3.8%減の48万1616台と4年ぶりに減少した。国内向けでは、2023年5月に投入した軽自動車の新型車「デリカミニ」が高い人気で台数を伸ばした他、「デリカD:5」も好調だったものの、「アウトランダー」「エクリプスクロス」が低迷した他、日産にOEM供給するEV「サクラ」が大幅に減少した。さらに輸出もアジアや欧州向けが減少し、同4.5%減と2年ぶりのマイナスだった。
12月単月のグローバル生産は、前年同月比4.2%減の7万21183台と11カ月連続のマイナス。このうち海外生産は、同1.8%減の3万3080台と2カ月連続で減少した。タイは同11.3%減と依然として低迷しているが、インドネシアは同33.8%増と回復。アジアトータルでは同0.6%減まで持ち直している。
一方、国内生産は低迷が続いており、同6.2%減の3万9038台と5カ月連続で減少した。国内販売が6カ月連続で増加しており、人気のデリカミニは前年実績が高かったこともあり減少に転じたが、大幅改良を実施したアウトランダーPHEVに加えてデリカD:5などが大きく伸長した。ただ、サクラや「ルークス」など日産向け車種の低迷が続いている他、輸出向けアウトランダーのガソリンエンジン車が減少した。その結果、輸出も北米向けが大きく落ち込み、同28.9%減と2カ月ぶりのマイナスとなった。
好調だったスバルも2024年は減産に転じた。2024年のグローバル生産は、前年比2.2%減の93万7893台と3年ぶりに前年実績を下回った。前年が半導体不足の解消で高水準の増産を行っていた反動が表れた格好で、国内生産は同6.0%減の57万1930台と3年ぶりのマイナス。新型「フォレスター」生産立ち上げに伴う制約が減産要因となった他、2月に群馬製作所矢島工場(群馬県太田市)で男性社員が崩れた金型に挟まれて死亡する事故が発生したことを受けて生産ペースを落として操業していたことも影響した。
唯一の海外拠点である米国生産も半導体不足解消による増産の反動減は発生したものの、前年は「クロストレック」の生産立ち上げによる制約もあったため、結果的には同4.3%増の36万5963台とプラスで着地。3年連続の前年越えだった。北米販売が好調で、米国がフォレスターやクロストレックの増加で同5.6%増。カナダは同23.8%増と大きく伸長し、暦年販売の過去最高を更新した。
足元でも前年の増産の反動減が続いており、12月単月のグローバル生産台数は、前年同月比11.6%減の7万876台と2カ月連続のマイナス。国内生産は同10.7%減の4万8405台と2カ月連続の減少。前年に新型車「レヴォーグ レイバック」を増産していたことや、クロストレックが伸びていたことも要因となった。海外生産はさらに落ち込み、同13.5%減の2万2471台と2カ月連続のマイナスだった。とはいえ、前年の半導体供給回復の反動減が理由で、スバルは「おおむね計画通りに生産している」としている。
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