2024年の新車生産は4年ぶりに前年割れ、2025年も予断を許さず自動車メーカー生産動向(2/4 ページ)

» 2025年02月18日 08時30分 公開
[MONOist]

トヨタ自動車

 メーカー別に見ると、トヨタの2024年のグローバル生産台数は前年比5.1%減の952万1876台と4年ぶりに減少へ転じた。中でも主力モデルを相次ぎ生産停止した国内生産の落ち込みが顕著で、同7.2%減の312万8351台と2年ぶりのマイナスとなった。「プリウス」が後席ドアハンドルの不具合によるリコールで4月上旬から6月中旬まで稼働を停止した他、生産工程の確認のため「ノア/ヴォクシー」とアルファードの生産も4月上旬から中旬まで停止。

 さらに、6月に発覚した認証不正問題により、「ヤリスクロス」「カローラフィールダー/アクシオ」の生産を9月上旬まで停止した。輸出も、主力の北米向けが同9.5%減だったことが響き、同2.7%減の189万6940台と2年ぶりの前年割れとなった。

 海外生産も伸び悩んだ。2024年は前年比4.0%減の639万3525台と4年ぶりに前年実績を下回った。前年が半導体の供給改善で高水準だった他、中国が市場のEVシフトによる販売競争の激化により同14.0%減と大幅減となり、2年連続の前年割れ。中国以外のアジアも、インドは堅調な需要や3直化、「アーバンクルーザーハイランダー」「イノーバハイクロス」の好調などにより同18.2%増と伸長したが、主要市場のタイは経済低迷や自動車ローンの厳格化などで同13.7%減と低迷した他、インドネシアもローンの厳格化で同6.4%減と伸び悩んだ。その結果、中国を含むアジアトータルでは同8.3%減となった。

 一方、主力の北米は、運転席エアバッグのリコールによる「レクサスTX」と「グランドハイランダー」の生産を停止したが、堅調な需要やHEV人気、新型「カムリ」好調などがプラス材料となり、前年比2.2%増と4年連続で増加した。欧州は、前年8月にチェコで発生した部品工場火災の反動もあり、同3.6%増とプラスを確保した。

12月の状況

 足元でも厳しさが続いている。12月単月のグローバル生産は、前年同月比3.9%減の77万712台と11カ月連続のマイナスだった。このうち国内生産は、同10.6%減の27万7915台と2カ月連続の前年割れ。前年12月が半導体の供給改善で前年同月比2割増と高水準だった反動が表れた。

 海外生産も伸び悩み、前年同月比3.1%減の51万5310台と10カ月連続で前年実績を下回った。中国は引き続き競争激化が続いている中、政府の車両購入補助政策と連動した販売促進策が奏功していることもあり、同2.1%減と減少幅を縮めたが、11カ月連続のマイナスだった。中国以外のアジアは、タイが同1.1%減、インドネシアが同16.8%減と振るわず、インドは同3.7%増と伸長したが、中国などアジア主要市場の落ち込みをカバーできず、アジアトータルでは同3.2%減と11カ月連続で減少した。

 欧州も前年が半導体の供給改善で高水準だった他、各国での稼働日が前年より少なかったため前年同月比17.8%減と大きく落ち込み、3カ月連続で減少した。一方、主要市場の北米は、堅調な需要に加えて、レクサスTXとグランドハイランダーを生産再開したこともあり、同6.8%増と5カ月ぶりにプラスへ転じた。

ダイハツ工業

 グループ傘下のダイハツはさらに厳しく、8社中で最も厳しい落ち込みを見せた。要因は認証不正問題で、2024年のグローバル生産は、前年比21.2%減の131万5564台と2年連続で前年実績を下回った。このうち国内生産は、同36.8%減の51万8881台と5年連続で減少し、8社の国内生産として最も大きな落ち込み幅となった。内訳は軽自動車が同35.8%減の38万4548台、登録車はさらに落ち込み同39.5%減の13万4333台だった。

 ダイハツでは認証不正の発覚により、2023年12月末にOEM(相手先ブランドによる生産)供給モデルを含む全車種の生産と出荷を停止。2月以降、順次生産を再開し、7月には全ての現行車種の生産を再開した。ただ、認証不正問題の影響で新規開発や認証業務を中断したことで、11月には継続生産車にも適用された新たな法規対応に間に合わない一部車種の生産を再び停止する事態となった。ただ、12月単月の国内生産は、前年12月に認証不正問題で全工場の生産を停止したこともあり、前年同月比0.9%減の5万1774台と5カ月連続のマイナスながら、11月の4割減からは大きく改善した。

 好調が続いていた海外生産も伸び悩んでいる。2024年は、前年比6.0%減の79万6683台と4年ぶりに減少した。インドネシアが自動車ローンの金利上昇などにより市場が低迷し、同15.0%減と台数を落としたことが主因だ。一方、マレーシアは同7.2%増と好調で、暦年として過去最高を更新。その結果、暦年の海外販売合計も過去最高となった。

12月の状況

 12月単月の世界生産は、前年同月比2.1%増の12万3019台と5カ月ぶりに増加した。国内生産を微減にとどめたことに加えて、海外生産が同4.4%増の7万1245台と7カ月ぶりにプラスに転じた。インドネシアは同0.3%減と微減だったが、マレーシアは同10.4%増と12月として過去最高を更新した。

ホンダ

 ホンダの2024年のグローバル生産は、前年比10.9%減の373万3602台と2年ぶりに前年実績を下回った。EVシフトなどにより競争が激化する中国が同35.0%減と前年以上に落ち込んだことが響き、4年連続のマイナスだった。このため中国では、生産調整を実施した他、生産能力の適正化を目的に広汽ホンダと東風ホンダの各1工場の稼働を休止。中国の減産によりアジアトータルも同27.4%減と3年連続で減少した。

 一方、北米は、HEV人気などにより「シビック」や「CR-V」の受注が好調で、前年比3.8%増と2年連続でプラスを確保した。それでも中国の大幅減はカバーできず、海外生産トータルでは、同12.4%減の304万343台と2年ぶりにマイナスへ転じた。

 国内生産も、前年比3.5%減の69万3259台と3年ぶりのマイナス。前年が半導体の供給改善で高水準だった他、前年が「N-BOX」の新型投入に合わせて増産対応していたことの反動が表れた。2024年の国内販売では、国内最量販車種の「N-BOX」は同10.9%減と減少したものの、車名別ランキングでは唯一の20万台超えで首位を守った。登録車では新型を投入した「フリード」の他、「ヴェゼル」「ステップワゴン」など主力モデルが2桁パーセント増の伸びを見せた。

12月の状況

 足元の状況はさらに悪化している。12月単月の世界生産は、前年同月比21.8%減の27万2530台と大きく落ち込み、5カ月連続のマイナス。8社で最大の落ち幅となった。このうち海外生産は、同22.6%減の21万6217台と5カ月連続の減少。こちらも8社で最も厳しい落ち込みだ。価格競争のあおりを受けて販売が低迷している中国は、同35.9%減と5カ月連続で減少した。その結果、アジアトータルも同29.2%減と、8カ月連続で前年実績を下回った。

 加えて北米も、オハイオ工場でEV生産ラインの設置工事を行っている影響により、前年同月比15.4%減と2カ月連続のマイナスだった。国内生産も前年のN-BOX増産の反動により、同18.7%減の5万6313台と3カ月連続で減少。8社で最大の落ち込み幅だった。

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