　生産の6割超を占めるインドは、マネサール工場で2024年4月から新ラインの稼働を開始し、年10万台分の能力増強を行ったことや、SUVモデルの販売好調、中近東およびアフリカ向けの輸出の増加などにより前年比6.6％増と4年連続で増加。過去最高を更新し、年間生産として初めて200万台を突破した。また、パキスタンも2023年6月に輸入規制が緩和された反動増で増加した。ただ、完成車や部品の輸入規制自体は続いており、伸び悩みの要因となっている。

　他にもインドネシアやタイ、ハンガリーの減産などにより、インド以外の海外生産は前年比29.7％減と低迷したが、インドの好調がカバーし、海外生産トータルでは同1.8％増の226万9692台と2年ぶりに前年実績を上回った。

　国内生産も好調で、前年比3.4％増の102万9910台と3年連続のプラス。8社の国内生産で唯一のプラスだった。「スイフト」「スペーシア」などの新型車に加えて、「ソリオ」「ハスラー」「ワゴンR」などの主力モデルも好調だった。さらに2023年に実施した稼働停止がなかったこともプラスに働いた。

12月の状況

　12月も好調だ。グローバル生産台数は、前年同月比10.2％増の25万3132台と2カ月連続のプラス。8社の世界生産で唯一の2桁パーセントの伸びを見せ、2位のホンダに2万台弱まで差を縮めている。要因はインドの好調で、「フロンクス」「ブレッツァ」などのSUVがけん引し、インド生産は同30.3％増と3カ月連続で増加。12月として過去最高を記録した。インド以外の海外生産は同27.3％減と依然として厳しく、22カ月連続のマイナス。それでも海外生産トータルでは同22.3％増の17万1703台と2カ月連続で前年実績を上回った。

　一方、国内生産は前年同月比8.7％減の8万1429台と5カ月連続のマイナスだった。前年が半導体不足の改善で高い水準だった他、新型車の投入による増産、欧州向け「イグニス」の生産終了などの反動が発生した。ただ、輸出自体はCKD（セミノックダウン）の増加などにより、同12.3％増と3カ月ぶりに増加した。

日産自動車

　国内外ともに低迷したのが日産だ。2024年のグローバル生産台数は、前年比8.7％減の314万4470台と2年ぶりに前年実績を下回った。このうち国内生産は、同8.6％減の65万6990台で3年ぶりのマイナス。国内市場向けは「エクストレイル」や「セレナ」が増加するなどまずまずだったものの、北米向け「ローグ」など海外向けが落ち込んだ。その結果、輸出も北米向けが同12.3％減と低迷するなど、同8.3％減と4年ぶりに減少した。

　海外生産も、前年比8.7％減の248万7480台と2年ぶりの前年割れだった。主要市場の北米は、「キックス」「ヴァーサ」が増えたメキシコは同8.8％増と好調だったものの、米国はローグが落ち込み同13.3％減と低迷した。中国も、市場のEVシフトやそれに伴う競争激化などで「シルフィ」やエクストレイルが減少し、同14.7％減と6年連続のマイナス。英国もEV「リーフ」の生産終了と、「キャシュカイ」の減少により同12.6％減と3年ぶりに減少した。

12月の状況

　足元では一層厳しさが増している。12月単月のグローバル生産は、前年同月比19.3％減の22万710台と7カ月連続で前年実績を下回った。このうち海外生産は同19.9％減の17万56台と7カ月連続のマイナス。特に北米事業が低迷しており、米国はローグなど主力モデルの販売が低迷し、同25.7％減と大きく落ち込み、8カ月連続のマイナスだった。米国で人気のHEVをラインアップしていないことが響いている。メキシコも「セントラ」の台数減で、同5.6％減と5カ月ぶりに減少した。

　中国も、前年同月比21.2％減と7カ月連続のマイナス。英国も同19.9％減と振るわず、4カ月連続で減少した。国内生産も低迷しており、同17.2％減の5万654台と10カ月連続で減少した。国内向けのセレナやエクストレイルが減少したことに加えて、米国向けローグの減産で、輸出も同21.6％減と大きく落ち込み、2カ月連続のマイナスだった。

　なお、事業不振を受けて、日産は2025年2月13日、これまでの大規模リストラに追加施策を実施する経営再建策を発表した。2026年度までにタイ工場とその他2工場の計3工場を閉鎖する他、生産能力も年400万台に引き下げる。販売費や一般管理費、生産拠点の再編などで4000億円のコスト削減を実施し、損益分岐点を年産310万台から250万台レベルへと引き下げるとした。これを受けて今後のグローバル生産台数もさらに減ることが予想される。

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